デファクトスタンダードに関する定番の本を6冊ほど目を通してみましたが、これ一冊で基本的に広さも深さもカバーされていると思う。
まず広さについて。
古くは米国の電話の普及から近年のVHS対ベータ、ワープロ、DVD等も取り上げられており、およそ規格競争という側面から集められる事例についてはほぼ網羅されている。少なくとも他の書籍で紹介されている事例でこの書籍に出ていなかったのは記憶に間違いが無ければ無かったと思う。
次に深さについて。
この本のよいところは、単なる事例を紹介した上で、それを戦略立案→実行のフレームワークに落とし込んでいるところ。フレームは例えばライフサイクルカーブのどこに業界が位置しているのか?その位置の中で市場トップなのかチャレンジャーなのか?といったように、個別商材、個別企業の位置づけに応じて思考できるようになっている。
いくつか具体性が不十分だったり、結果としての勝利・敗北に指摘されている原因では網羅性が足りないのではないか、と思われる箇所もあるが、すくなくとも現時点で書籍からデファクトスタンダード戦略を学ぼうと思えば、これ以上の本は日本にはない。
良書。