不覚にもちょっと萌えた…
★★★★★
『空色スピカ』から始まるシリーズ三冊目。一冊目を読んだ時から「どうしちゃったのかわいさん…」と思っていたが、ついに三冊目でこれもありかもと思ってしまった。だって硬派な生徒会長が、フェロモン副会長にたらされてしまうんだから。タイトルが激甘とか、予定調和の寄宿舎モノとか思っていたことが、どうでもよくなりました。弾正が硬派のままなのがとても美味しかったです。
シリーズ全体について言えば、シュロッターベッツやラコンブラードや持堂院の話を読んで育った読者が、大人になって楽しむシリーズだろうけれど、あの頃の純情はもはや存在しないのかしらと残念に思ったりもします。大人の女の人の視点を常に感じるので、高校生たちに感情移入することができず、記憶の中の物語とのずれを感じるのかもしれません。
全体的に微妙
★★☆☆☆
前2作を買っていたので、書店で見かけたこちらも購入しました。
なんというか…、微妙です。
「もう最悪!買わなきゃよかった!」なんてことはなかったのですが、買ってよかったとは微塵も思いませんでした。
カトリック系?の全寮制男子校なので、設定にリアリティはありません。求めるべきでないとも思います。
ですが、登場人物までリアリティがないのは、ちょっと…。
しゃべり方が高校生らしくないのが気になりました。全員が全員、いかにも「小説の中の人物」という感じです。
作者の語彙の少なさが見えてしまうのも気になりました。何度も何度も同じ表現が出てきて、うんざりします。
(作者の文章力自体が、優秀な携帯小説レベルです。読むのにギリギリ支障がないというだけ)
それから、作中には、メイン二人のイケメンさをアピールする文が何度も出てきます。
事あるごとにイケメン表現が出てくるので、いい加減くどいよ、と思いました。
二段組みで長々とやるには、作者の力量も、話の面白みも足りないです。
イラストは小椋ムクさんということで、期待していました。
線が細くて、表紙どおりの繊細な印象の絵です。ですが高校生には見えません。
背景にいる、簡略化された顔の人たちのほうが高校生っぽいです。
もしこの本を買おうと思っているなら、これと一緒に、何か別の本も買ったほうがいいと思います。
これだけだと、たぶん「がっかり」で終わることになると思います。
文の量だけでは、読み応えは得られないということなんですかね。
全寮制BLの系譜
★★★★★
「空色スピカ」「流星シロップ」に続く清泉学院シリーズ第三弾。
もちろんこれだけでも読めますが、前2作の面々が下級生として登場、かつ彼らメインの短編も収録と豪華。
さらにあとがきでシリーズ続刊が予告されていて、今とっても幸せな気分でレビューしてたりします。
伝説になったくらい硬派な会長と、フェロモン垂れ流しの副会長の物語。
会長のツンデレぶりと、副会長のオトメンぶりにやられました。
うまい。
変な誇張もなく、仕掛けもなく。
副会長にはそういう性癖があり。
その副会長はただただ魅力的に描かれ。
会長も想われ人に相応しい人物。
二人はこの上なく自然に結ばれる。
おなじみの生徒会活動も、その権謀術数(笑)も、登場人物がそれぞれ個性的で、興味深く、飽きずに読めました。
二人が為すべきことを為しながら少しずつ距離を縮めていく様子を、清泉学院の時計台にでもなった気分で見守ってしまいました。
安定した筆致で描かれる、キラキラした青春。
二段組で読み応えもたっぷり。
純粋な気持ちをいっぱい浴びて、若返った気分。
アンチエイジングにいいと思います。