たまに見ると発見があるかもしれません
★★★☆☆
いまどきツェルニー30→40→50と順を追ってレッスンする生きた化石のような先生はいないと思いますが、この曲集はなかなか良く出来ています。全部を弾く必要はありませんが、ベートーヴェンのソナタで壁にぶつかったらこの本を開いて見てみましょう。ツェルニーはベートーヴェンの一番弟子であり、このエチュードにはベートーヴェンのソナタを弾く鍵が詰まっています。長い曲が多いので、指や腕が疲れずに長時間引き続けるためのテクニックを習得するにはもってこいですが、その目的なら最初からベートーヴェンの中期~後期ソナタを勉強すれば良いのです。
そんなわけで、純粋にエチュードとして使用される前提でしたらこの曲集ではなく、クレメンティのパルナッスム、クラマー=ビューローやモシェレス、ブラームスのエチュードをお勧めします。特にブラームスは専門家を目指す人であれば必須でしょう。もちろん、このレベルの人ならショパンエチュードでも弾けると思いますが、あれは技術訓練に特化したエチュードではありませんので。