前例のない改革のその後と上杉鷹山の生涯
★★★★★
前例のない改革は非常に困難を極め、一筋縄ではいかない。それでも改革の火種を少しずつ大きくしていく領民たち、そして藩主の上杉治憲。例えば、武士に対して年貢を納めるものの苦労を自分自身が身をもって体験することを進め、城で役所仕事をする暇があったら土を耕し木を植えることを指示した。また、治憲が自ら村を回り新しく土地を開墾した者たちの苦労を労うことも忘れない。
下巻では、改革のさらなる推進、改革による犠牲、上杉治憲改め上杉鷹山の生涯が描かれており、最後まで読み応えがあった。アメリカ大統領だったケネディがもっとも尊敬する日本人は上杉鷹山だと言ったのも十分に理解でき共感した。
昔の日本にこういう人がいたんだな、と。
★★★★☆
嘘か本当かわからないが、ここで出てくる上杉鷹山はまさに理想の君主であり、現代風に言うと理想の経営者、という感じ。もう少し詳細に彼がやったこと、特に政治面なんかが充実していると、経営の参考書的に読むこともできるかもしれない。ただ、この人物がどんな人間か知る意味ではこの本で十分。良書。こういう人もいたんだな、という感じ。
客観的な視点の重要性
★★★★☆
米沢藩主に養子として入った上杉鷹山の藩政改革の理念を記した書。
組織のリーダーや官僚といった、組織の方向性を決める人達に読んで、肝に銘じてもらいたい。
当時の米沢藩は、乱世で名をあげた上杉謙信の時代と違い、
幕府に厳しい財政環境に封じられ、財政破綻。
彼は藩の実態を見て回り、問題は財政だけではなく、藩士の心とし、
人の改革と現場主義を主として改革を実行。
最大の敵は、しきたりを守るだけで惰性で働く重役達。
その強い抵抗に負けず、自らを律し、情を捨て、粘り強く改革を進め、民に希望を与える。
また改革後の維持の重要性にも着目し、再びなれ合いが生じない様、心を配る。
自らを米沢の外部の人間と認識し、客観的に物事を見る事に長けた人だと思う。
現代に十二分に通用する大事な理念の書だと感じた。
なぜ、絶えた・・。
★★★★☆
米国のライス国務長官の服装・スタイルが、日本のキャリアウーマンに人気があるそうです。
バリバリ仕事をしている、IQの高い、学者であり国務長官でもあるライス氏は、ブランドスーツに身を包み、脚を強調するような高級なヒールをいつも装っています。
もちろん、これにはアメリカの黒人の歴史、女性の歴史に対するアクションもありましょうから、一概に批判はしません。いや、逆にその生き方には感動すらいたします。
しかし、なぜそのような装い方にばかり賛意があるのでしょう?
本書では、米沢・上杉鷹山公の物語後半がえがかれています。鷹山公は、まず改革は自分からと、粗末な木綿の着物で過ごしています。
まさに、東洋的な王道政治ではないでしょうか。(ライスさんは、覇道的でしょうか?)
上に立つ者は、まず率先して民に範を示す。ブランドスーツで決め込んで、国民には倹約しろ、納税しろというっても東洋の文脈にある我々の心(の奥)には響きません。
国を背負う仕事をしているのだから、高い給料(その後の特典含む:米大統領は講演料が1000万円だそうです。)で契約しているのだ!では、心底、敬愛できないのです。
なぜ、そのような東洋的、儒教的君主が絶えたのでしょう・・。本書を読んで、思いを馳せはじめざるを得ませんでした。
・・・ご参考にしてくださいまし。
思わず涙が、、、
★★★★★
以前、書店で働いていた時に物凄く売れていた本。しかし、読んだのはつい最近。社会経験をしたからこそわかる部分も多いと思います。人間を捉える目線、作者の経験が生きています。『人は何を言ったかではなく、誰が言ったのかを気にする』・・・名言だと思います。
最近で言えば宮崎の東国原知事。事前には『あんな(スキャンダルも多い)タレントに何ができる』と思った人が数多くいました。ところが、今や彼のちょっとした発言も新聞記事に。この本を読むと、人間の持つ『先入観』『固定概念』についても考えさせれます。