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完本 エヴァンゲリオン解読 (静山社文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 静山社
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旧版の誤読がまだ直ってない ★☆☆☆☆
いわゆる「新世紀エヴァンゲリオン」の謎本の中でも最後発に属する本の文庫版です。

すでにヱヴァンゲリヲン新劇場版も破までソフト化され、エヴァの世界を“読解”する
作業を行うのならば、旧世紀版だけでは片手落ちであると考えます。本書の序文でも
その問題は言及されており、あくまで20世紀の内に発表されたエヴァのみを扱っている
物とすれば、本書の網羅している一次資料は合格と言ってよいものです。

私は本書が2001年にハードカバーで発行された際に購入し一度読破しております。
その際に感じた筆者の解釈の違和感も、当時であれば許容範囲かなと思う部分でありました。

今回の版は「新劇場版:序」の直後に加筆訂正した上で改訂版として発行されており
ハードカバー版で感じた違和感も当然のごとく訂正されているものと思っていました。

しかし実際には「新劇場版が発表された今となっては情報が古くなっているが
本書は『新世紀エヴァンゲリオン』に対して“読解”を試みた」(意訳)という
エクスキューズが追加されているに過ぎず、肝心の設定の読解で致命的な思い違いを
している点がまったく直っておりません。

文庫本ですし、暇つぶしに読むには丁度良いとは思いますが、あまり解釈の助けにはなりません。
それゆえの星1つです。
これこそ「エヴァ本」 ★★★★★
この書籍、単行本初版が2000年出版だそうですが、この時期に出版されたものだからこそ意義があるのではないかと思います。


私は2006年、ちょうどチルドレン達と同じ14歳で『エヴァ』に出会いました。 しかし、その難解な物語(自分の中では)や多くの謎を残して終わってしまったTV版、謎からの解放を求め視聴したはずがさらに謎と混乱を呼ぶ旧劇場版。


それらを処理出来なかった私は、解答を求め(他人の解釈に答えを求めた点についてはさておき)、古本屋に通い、いくつもの『エヴァ本』を買いあさりました。


しかしそれらは、旧劇場版公開までに起こった「エヴァブーム」に便乗して売上を上げようとした当時の出版社の思惑が見えるものが多く、キャラの台詞すら間違えているような本もあり、家に帰って絶望した時もあります。


そもそも『作品が完結していない』にもかかわらず『作品を解釈・解説』する行為そのものが間違っているような気がしました。


しかし本書は、TV版全26話、劇場版『シト新生』『THE END OF〜』を含んだ内容になっており、エヴァ本には珍しい『作品が完結してから出された書物』になっています。


内容がどうこうではなく(もちろん内容も大事ですが)このような本がエヴァブームが一旦静まった旧劇場版以降に出版され、文庫本になって2010年の現在読むことが出来ることに意味があるのではないかと思います。


内容が多少強引な部分もあるよう感じましたが、こういった本に抵抗のないエヴァファンに読んでいただきたい一冊です。