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地獄の日本兵―ニューギニア戦線の真相 (新潮新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 新潮社
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回想録に留まらない ★★★★★
ほかの回想録的な本にくらべ本書の特徴は二つある。

一つはいろんな資料を参照して適度な引用があること。なので他の回想ものに比べると読者から著者の体験への感情移入は少ないが、それにしてもショックを受ける。語りつくされたことではあるが、バカな将軍敵より怖いってのがここにも。

もう一つは旧軍人の戦争責任とかアメリカの思惑などについて視点を高く取った解説があること。これにも大変考えさせられる。いろいろ考えさせられる中で、一つ引用しておく。

「数多くの戦友会によって頻繁に行われた慰霊祭の祭文に、不思議に共通していた言葉がありました。『あなた方の尊い犠牲の上に、今日の経済的繁栄があります。どうか安らかにお眠り下さい』 飢え死にした兵士たちのどこに、経済的繁栄を築く要員があったのでしょうか。」

他の戦記物や回想録をみると、指揮官連中の横暴ぶり、部下の私物化ぶりがうかがい知れることがある。食糧不足の中、上官だけが特別に食べていたり、沈没船から上官だけがボートで助かったり。戦友会の中心人物はそういう人たちなのだろうか。
読んだ地獄は、果たして百分の一も理解できたのだろうか? ★★★★★
約20万人がニューギニア島に上陸し、帰還したのは2万人のみ、つまりは9割の方々が死亡した。
そのような地獄絵図が語られています。
本書を読む限り、そのほとんどは犬死と言うべき死に様で、杜撰で稚拙な作戦計画によって、
ジャングルや山岳地帯を彷徨させられたあげくに、悲惨な餓死に追いやられた事実には、悲しさと怒りを
感じます。

「日本人は戦争の歴史を反省して」と良く言われますが、反省すべきなのは誰なのでしょうか?
膨大な犠牲を兵隊や国民に強制し、国を滅ぼす寸前までの愚行を行った犯人や原因を明らかにし、
きちんと歴史として語り継いでゆく必要があると思いました。

日本人にとっての戦争犯罪人を、批判もなしに英霊として祀るというのは許されることなのでしょうか?
少なくともこの本のニューギニアで亡くなった方たちは、そうは思わないのではないかと感じます。
悲惨に学ぶならば、何かしら理由を付けて戦争へ歩を進める人間は、根本の思想が悪であると思う ★★★★★
戦争とは何か。
NHKのサイトでも特集されていますが、
戦争はどういう現実を起こしたのか(or今後起こり得るのか)、
この認識なくして、憲法改正論議をしても意味が無い、との著者見解に納得です。
http://www.nhk.or.jp/shogenarchives/


また、
「過去が現在に関係がなければ、歴史も戦史も、その醜いはらわたを暴く必要はないのである」
との訴えは、醜い戦争を生き延びた先人の言葉として、傾聴に値します。

首相の靖国参拝問題、
靖国に祭られた戦死者の遺族が抗議しても一度靖国に祭られたら引き渡してもらえない等、「英霊」と美化されている問題があります。
食料配給がなく、無謀な作戦遂行させられた上、
各地で戦死した大半は飢え死に、共食い等、惨めな死に方をした実態は美化できるものではない。
また、戦死者の犠牲のうえに今日の経済的繁栄があるなどという人間は、歴史を直視できていない、とのコメントも重みがあります。


8/15 NHK 核兵器要否の特集番組中、
主婦発言で“大切に育てた我が子を戦場に送るなんて考えられない”とありましたが、
人間として、この素直な感情が国際政治レベルになると、理解されず、反映されるまでに困難があるのが矛盾した現実です。

ローマクラブ名誉会長と創価学会名誉会長との対談で、
「動物と人間との違いは何か」との学会名誉会長の問いに対して、
ローマクラブ名誉会長の回答は、
端的に言えば、「堕落するかしないかである。人間は堕落する。」とあったのを思い出します。


ちなみに以前、「世界不思議発見」で見ましたが、
動物は、仲間が食い殺されるのを興味本位で見に集まることはするようです。
が、
さすがに、さまざま理由つけて、大量破壊兵器で、無残に同類を殺しまくることはしません。

人間が堕落しないためには、少なくとも過去を直視し反省し、人間としての素直な感情が、ストレートに政策に反映されることを期待します。
教科書として採用しよう ★★★★★
 アフガン戦争にしても、ボスニア戦争にしても、メジャーなメディアでは実態を報道しない。だから、戦争について
理解できるはずがない。
 このような著作によって初めて、戦争という人類にとって何の益もない行為が理解できるはずだ。
 仲間を殺して人肉を食う部分はあまりにも残酷であるが、この部分のみなんとかして、子供たちも戦争に関する生き
た教科書として学習すべきだ。
 こういった著作でいつも感じるのは、将校どもの汚さ。飯田さんも服部卓四郎を恥知らずといって憚らない。全く同感。
 日本空爆作戦を指導したカーチス・ルメイに勲章を与えたことに、飯田さんはへどが出る(この部分には相当な怒りが
込められている)といっているが、これも同感。
 
多分事実も誇張されて書かれていると思います ★☆☆☆☆
この本には三光作戦の言葉が出てきます。この言葉は中国軍が自分たちの悪行を日本軍のせいにするためでっち上げた言葉です。それがこのニューギニア版の本に出てくるということはその目的のその手の本だと思います。