大変よく調べて書いてあって、それなりに興味深く読めた。後ろには参考文献がずらりと記述してあり、著作中も出典についてきちんと補足してある部分が多い。

ただ、構成がちょっとわかりずらい。同じエピソードへの言及が何度もあったり、時代があちこち飛ぶ。どうしてそのような結論を下しているのか根拠がよくわからない感想もある。もう少し整理し直してから出しても良かったのではないかと思った。少なくとも、事前知識が無い方には少しわかりにくいように思う。

尚、1冊目の大奥の本としては、歴史群像シリーズの「図説・大奥のすべて決定版」がカラー写真や図を徹底的に用いてビジュアルでわかりやすくお勧めである。また、関連書として「徳川将軍家十五代のカルテ」あたりも読むと将軍を中心とした視点からの理解が深まるかもしれない。

数年前からTVドラマなどで関心が高まってきた大奥に関する概説書と言うか、うんちく本です。全く江戸時代の歴史に詳しくなくても読めます。ただ、項目は時系列順になっていないので、その点は取っつきにくいかも知れません。また、春日局に対しての評価が辛いので、大河ドラマやTVの「大奥」で彼女に対するイメージが固まってしまっている人はやめた方がいい本かも知れません。
巻末に一応参考文献がまとまって載っています。大奥を学問的に勉強したいという人には役に立つと思います。