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緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 朝日新聞
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推理、イタリア、歴史、ロマン。一冊ですべてを満喫できる! ★★★★★
3部作どれもが傑作ですが、中でもこのヴェネツィア篇は最高傑作です。
興奮の合間も退屈することがありません。
現在のヴェネツィアを楽しむコツさえ隠されています。
ストーリーの流れのよさから、一気に読みきれる本でもあり、その内容の濃さは、何度読んでも楽しめる一冊。
おもしろい ★★★★★
 塩野七生による、ウェネチア共和国と舞台にした小説です。この本を傍らに、旧ウェネチア共和国をトルコへ向けて旅しました。当地を取材したヴェニスあるいはベネチアの風景描写はさすがです。現地を旅行すると正確さがわかります。1千年続いたウェネチア共和国を理解するのは難しい。十人委員会など特殊な統治システム。巨万の富がなぜここに集まったのか。ティントレット、ティティアーノ等々のウェネチア派の巨匠達が登場し、トルコ、フランス、スペイン等々との複雑な駆け引きが物語をより複雑にしていきます。マルコを筆頭にした人間描写も素晴らしい。30代後半から40代の男女の駆け引きや思いが描かれています。エンターテイメントとしても秀逸です。本策は三部作の第一作目ですが、本作が一番よく書けているように思います。
ヴェネツィアの統治力・インテリジェンス力に脱帽 ★★★★★
塩野七生さんのイタリア都市を主人公にした3部作の1作目。
架空の人物を過去の時系列に埋め込み、あたかもこの時代にいて目撃したかのように活き活きと当時の世界を見せてくれる。
イタリアの都市の魅力にとりつかれるも良し、CDXの一員になったつもりでヴェネツィア統治を考えるも良し、謎の美女オリンピアに惹かれるも良しwww。

小説としても一級品だが、ヴェネツィアの政体・情報能力に驚かされる。
狭間の時代・狭間に生きる人々の物語 ★★★★★
この作品のキーワードを一言で表すとするならば、それは『狭間』である。
都市が主役であった時代から大国の時代へと移り変わる、まさに『狭間の時代』を生きる斜陽のヴェネツィア共和国が物語の主要な舞台であり、ある意味で主役そのものでもある。
そして、大国間のパワーバランスの変化に対応し都市国家が生き延びるための死にものぐるいの諜報戦の現場に送り込まれた主人公マルコ・ダンドロの目を通して『狭間の世界』に生きた異邦人の生き様が描かれる。
多くの日本人にとっては身近ではない、この『狭間の世界』に生きる異邦人アルヴィーゼの悲しい生き方こそがきっと塩野氏がこの物語で描きたかったものなのだろう。
多くの歴史著作はその時代、世界を俯瞰的に上から描くものだ。
しかし、それだけでは世界・時代の動きを眺めることは出来ても、その時代そこに生きた人々の息吹は伝わらない。
だからこそ歴史小説という分野が必要になる。
この小説を読むことで知識の上に展開されたヴェネツィア共和国や地中海世界がまさに生きた世界となり、そこに暮らす人々が見たであろう景色がリアルかつ鮮やかに蘇る。
この小説とセットでヴェネツィア共和国という国家と歴史を俯瞰的に描いた『海の都の物語』も読んでおく事で、この小説世界により深くどっぷりとはまれるだろう。

海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈上〉 (塩野七生ルネサンス著作集)
海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈下〉 (塩野七生ルネサンス著作集)
塩野さん入門に最適です ★★★★★
 何か別のものを読んで、もういいやと思ってしまった方、もったいない。騙されたと思って本書を読んでみるといい。いい男ばかりが出てくる、とてもミーハーに読める作品だ。
 もちろん歴史的な背景はしっかりしているし、ここで覚えたことをよそで話しても恥はかかない。
 イスタンブールに行ったことのある方、これからトルコへ行こうと考えておられる方、読んでいくと楽しみが倍増する。
 個人的には、ヴェネツィアの元首の息子でありながら、庶子であるためにはじき出され道を誤るアルヴィーゼ・グリッティのファンである。ああいう身の滅ぼし方には、一種の憧れさえ抱く。