５刷目を今ごろ購入。表紙の森茉莉は、今まで見た中年になってからの姿ではとてもいい森茉莉らしさが出ていて。
しかも中には婚礼立ち姿の美しい写真や、パリでの夫との洋服に帽子のきれいな茉莉が
！！これはファンには貴重。
柴田練三郎に容姿に関わる皮肉を書かれた（と受け止め）あたりからの、如何に美しかったか、の止まらないお喋りは（これがファンにはたまらなくおもしろい）延々と読まされたが、
証拠が小さい白黒の集合写真では、よくわからなかったから。
作品からの抜粋は、愛読者にはおなじみのものだが、犀星から現代作家まで、茉莉を語る言葉がつまっていてファン必携。小島千加子さんの編集者から見たデビュー当時の経緯なども素晴らしい。

ずっと前にお友達に茉莉さんの著書を薦められて以来のファンで、市販されている物は殆ど読破しましたが、この本はその総集編＝生きた茉莉さんの素顔が伺える貴重な構成になっています。シニカルで超人的な発想をお持ちだった茉莉さんの横顔や、茉莉さんに近しかった編集者などの談話もあり、私はさらに茉莉さんが大好きになりました。

私の周囲に森茉莉ファンはいません。時に孤独感を味わっています。そんな中発行された森茉莉特集本、副題も「天使の贅沢貧乏」ときた日には、己の贅沢貧乏空間で「世の中捨てたもんじゃない」と軽いステップを踏んでしまったくらい喜んでしまいました。

本書からは確かに森茉莉の声が聞こえ、森茉莉を愛する人たちの興奮が伝わってきます。ファン必携の本とは本書のことです。