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ヴォネガット、大いに語る (ハヤカワ文庫SF)

価格: ¥945
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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だけどもう、それだけじゃ足りないんだ! ★★★★★
なかなか入手の難しい一冊。
ではあるが、古本でも入手できるようでよかった。
(サンリオ文庫版も検索してみてください。ぜひ。)
まずは地域の図書館で検索してみて、借りて読んでみましょう。

この本では、「スラップスティック」の構想が語られており、
そして拡大家族の必要性がこれまたしつこいくらい説きに説かれている。
彼の言っていることは、他の長編やエッセイやインタビューとなんら変わらない。
彼は、言ってる事が全部同じ。何冊読んでも同じ。

しかし、ヴォネガットのエッセイのなかでも、この本と
「死よりも悪い運命」は群を抜いて重い。
内戦が続く現地への取材旅行がどちらにも含まれていて
(「死よりも」はモザンビークの取材)、そのせいもあるのかもしれない。
ビアフラのナイジェリアからの独立運動の失敗による、国民の危機的状況は、
冗談でも言わなきゃやっていられない。
といいながらも、もうすっかり笑う力すら残っていない。

そんなヴォネガットが、そこにいる。生々しいのだ。人間くさいし、あがき、悩んでいる。

わたしは彼のエッセイであるこの本と、「パームサンデー」と
「死よりも悪い運命」の再販を、心から望む。
かつて、エリオット・ローズウォーターは、人生について知るべきことは
「カラマーゾフの兄弟」の中にある、と言い、そしてこうつけ加えた、
「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ!」。
わたしたちは、「国のない男」だけじゃもう足りないんだ!

どうせつくなら、気分のいい嘘をつこうじゃないか。
未来は暗く、生きることはつらい。それでも人生は続く。
なあ、赤ちゃん。こんな地球にようこそ。
でも、きっと人の親切が、君の心を明るく楽しいものにしてくれる。

アメリカ人のこの作家は、そんなたわごとを一所懸命書き続けてきたおじさんなんだ。
こんな人がいたなんて、それはきっと素敵なことに違いない。
わたしはそう信じている。

(追記:2008年秋に復刊決定。よかったです)