とんでもない結末だと思った。しかし、今ならこれがどんなに素晴らしい結末なのかがわかる。
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ゲゲゲの鬼太郎が、勧善懲悪譚というごくわかりやすい漫画の中でも、他の漫画と一線を画した強みは、
特徴ある妖怪の面白さや、不気味さといったものはもちろんだが、鬼太郎の強さの源泉を並みはずれた「生命力」にもっていくことで、
「しぶとい」という、時間(つまりは話が進むにつれ)が彼に逆転のチャンスを与えるという、
理にかなった展開を担保し、どんな奇想天外な話でも、うまくまとまるということがあったと思う。
それでも、この最終話、というか「その後」は、ないなぁと思うくらいの奇想天外っぷりだと思った。
水木しげるのいう、南方の素晴らしさが理解できるまでは、なんだこりゃな結末。
時が過ぎ、今は、本当にいい作品だなぁと思う。このラストは、「ゲゲゲ」のシリーズを一気に無二の存在にしたとさえ思う。
「父は、自分の魂を込めて作品を描いているのだ」
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本書は「少年マガジン/オリジナル版 ゲゲゲの鬼太郎」全五巻の最終巻です。
全68話のうち12話を収録しています。
『週刊少年マガジン』での連載は本書収録の「妖怪反物」で終わりました。そし
て翌月から月刊誌に舞台が移ります。四話をもってそれも終わりです。こうして
昭和40年からの4年におよぶ、連載が終了しました。「その後のゲゲゲの鬼太
郎」はその後日譚です。
こうして第一巻から読んでいくと、第一話の「手」に始まる、少年マガジンでの
四年は濃密な時間であったことがわかります。これは雑誌を読むことでしか味わ
えなかった、貴重な体験です。台詞の一部修正はあるものの、それを可能にし
た、今回の企画はすばらしいと思います。
「その後のゲゲゲの鬼太郎」は、濃密な四年間に花を添える秀作です。この話が
68話の最後を締めくくることで、ひとつの完結した世界を創り出しています。と
りわけ作品中の、以下の文句はなんともさわやかな印象をあたえてくれます。マ
ガジン版の鬼太郎を締めくくるにふさわしい台詞です。
鬼太郎はいま・・・中略・・・南方の島で初代自由酋長としてくらしている/
やがてこの島からみんなのもとにも招待状が届くことだろう
【ゲゲゲの鬼太郎38〜44】
「陰摩羅鬼」(全三話)
「妖怪ほうこう」(全二話)
「牛鬼」(前・後編)
「雨ふり天狗」
「髪さま」(前・後編)
「妖怪大裁判」(全四話)
「妖怪反物」(全五話)
「かまぼこ」(月刊別冊少年マガジン)
「泥田坊」(同上)
「妖怪あしまがり」(同上)
「土ころび」(同上)
「その後のまんがスター(2) ゲゲゲの鬼太郎」(別冊少年マガジン)
(カラー口絵)〈画報〉大魔界/ゲゲゲの鬼太郎60'sグッズ/ゲゲゲの鬼太郎名画選5
〈妖怪紳士録 全七回〉
〈解説〉武良悦子「仕事場での父」
〈鬼太郎作品総リスト 編集・平林重雄〉
〈初出一覧〉