妖怪まんがの確立
★★★★★
本書は「少年マガジン/オリジナル版 ゲゲゲの鬼太郎」全五巻の三冊目です。
全68話のうち21話を収録しています。全体の3割をしめています。
第三巻は毎回の表紙から、テレビ放映に向けて盛り上がっていく様子を楽しめま
す。「テレビ化決定」の文字が、第二巻最後の「電気妖怪」の表紙に登場しまし
た。本巻でもそれがつづいたあと、「おりたたみ入道」から「テレビ放送中!」
の文句に変わります。このような楽しみ方ができるのも本シリーズの特色です。
また本書からこの時期の、読みきり重視の方針を確認することができます。それ
はテレビ化にともない話数を確保する、という事情があったのかもしれません。
その結果、鬼太郎が毎回さまざまな妖怪を退治していくという、「妖怪まんが」
という分野を本巻で確立したといってよいのではないでしょうか。
それにともない、ねずみ男が重要な役を演じるようになったことも見逃せませ
ん。これは鬼太郎が正義の味方に定着したことによるものです。ねずみ男は狂言
回しとして、物語の進行に欠かせない存在になりました。
【ゲゲゲの鬼太郎4〜25】
「ダイヤモンド妖怪」
「白山坊」
「海座頭」
「さら小僧」
「笠地蔵」(別冊少年マガジンお正月おたのしみ特大号)
「磯女」
「まくら返し」
「おりたたみ入道」
「おどろおどろ」
「手の目」
「鏡合戦」(前・後編)
「朝鮮魔法」(前・中・後編)
「モウリョウ」
「こま妖怪」
「妖花」
「さざえ鬼」
「悪魔ベリアル」
「妖怪軍団」(前・後編)
「人食い島」
「ばけ猫」
「のっぺらぼう」
(カラー口絵)〈画報〉鬼太郎のふしぎな世界/ゲゲゲの鬼太郎名画選3
〈妖怪紳士録 全八回〉
〈解説〉荒俣宏「『少年マガジン』と鬼太郎むかしばなし」
〈初出一覧〉