ウィーンフィルの美しさを最大限に引き出しす事が晩年のベーム翁の指揮者としての喜びだった?
★★★★★
何かとイマイチ評価の低い故ベーム翁ですが、彼の指揮には不自然なアコーギグや唐突な強弱の変化も極力避けているし、最近流行りの(笑)全休止 の時のこれ見よがしな残響もなくアッサリと自然に音が切れる。 飾り気の無い地味な演奏なのに退屈はしない、泰然自若たる足取りで粛々と進むが、揺るぎない自信に満ち溢れてベーム本来のスケールの大きな重厚さは失ってはいない。 こういう正統派のドイツ=オーストリア的な交響曲演奏に置いてこそウィーンフィルは他の楽団では味わえない深く美しい響きを醸し出すのですね。弦や木管の滋味豊かな温もり、ホルン(やっぱりブラームス、ブルックナーにはウィンナホルン!)始め金管の力強さ、素晴らしいですね。 晩年のベーム翁の特徴として最終楽章のコーダの追い込みが「老いの一徹」とも言える激しい表現(ブラームスの交響曲一番とか)があり初めて聴く人には驚きかも知れない、この曲も最終楽章だけはアンサンブルの纏まりより強烈な推進力を優先しています。ラストの呆気ない感じも、また実にベーム翁らしいですね。
「おぉウィーンフィルは今日もえぇ音出しとるのぉ…」と指揮台で目を細めるベーム翁の顔が目に浮かびますね。