王都奪還の“見せ場”は「第二次アトロパテネ会戦」と
「アルスラーンが宝剣を賜り、真のシャーオ(国王)になる」
ところでしょう。
とにかく田中さんの戦闘シーンの描写には舌を巻きます。
まだ中学の頃、こんなに戦闘の描写に迫力があって、映画を
見ているようなゾクゾク感にさらされたのは、氏がはじめてで、
感動しました。我らがダリューン卿の活躍もすごくて、ほれましたな~~。
あと、アルスラーンがタハミーネ王妃と語り合い、
自ら王者の剣を賜りに行くシーンは、まじ泣けます!
結局“タハミーネはアルスラーンという一この人間を
最後まで理解しようとしなかった”といったくだりも、
エステルやアルフリードのように「自発的に生きられず、
生きようともしなかった女性の哀しいエゴイズム」
が表れていて、なーんだかやりきれない。でも、この女性の
心理的描写もほんとに上手い。戦争や戦術だけでなく、
人間を描く能力にも卓越している氏の才能をかんじさせられます。
宝剣を賜ったのち、アンドラゴラス王に罵倒されても、「私が王です」
と毅然と言い放つところは、「成長したよ~(泣)」
って感じで安心しました。強くなりましたアルスラーン!
家臣ではあるけれど、かけがえない仲間たちが
「殿下!」とやや危機迫る雰囲気にも聞き取れた尊称が
(まだおさなくて頼りないので、大人たちがひやひやしているのが
この言葉だけで伝わってくる・・・)、
「陛下」になると、落ち着いた音楽ふうにも読み取れるのは
彼も成長し、真の王・大人になった証なのでしょう。
でも、ダリューンやナルサスたちに「過保護」に
されているアルスラーンはやっぱり可愛らしかったです(笑)。