国際政治の標準内容をおさえたコンパクトな教科書
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国際関係論は英米を中心とする、とても理論的な学問分野なのに、日本の大学では、担当者が国際関係の大学院卒の研究者から、外交官、商社員、NPO経験者、ジャーナリストと出身が幅広く、それぞれに国際関係論の理解が異なり、安易に地域別の議論に還元したり、講師の実地の見聞が詳しいところだけ長々と述べたりすることも多い。その点、この教科書は、国際関係論のスタンダードな内容を、とても薄い本ながら、かなりの知識を凝縮して記述してある。
もう一つ、日本では政治学、経済学の十分な蓄積なしに国際関係、国際文化を学ぶことになる学部も多い。そうした学生にも、この本はもともと社会人学生も多い放送大学の大学院向けに国際関係論の知識なしに読めるようになっているので理解されやすい。変にくだけず、無駄なく簡潔に記述されており、難しい数式や概念を用いないのもよい。4年制大学のまじめな学生なら十分に読めます。
学生諸君が自分の大学の国際関係論の講義に疑問を感じた場合も、これを一度読んでみるといいと思います。