「現代落語家論」「続・現代落語家論」などは、私たちが実体験できない昭和20年代後半の寄席文化や、そこで活躍した人たちの「現代」に通じる流れを語ってくれている。
残念ながら、立川談志師匠は、ここ数年、本来の噺家の輝きを失っており、談志独演会に通っていた者としては、忸怩たる思いがある。
その支障と言うか家元の著作ではあるが、少し、ご病気もあってか、熱意が空回りしているのではなかろうか?
意気や良し。全て支持する。しかし・・・
談志は古典芸能から現代芸能まで広く深く渉猟して己のものにしており、しかも見る目、選ぶ目がある。その彼と同じ時代を生き、名を成さずに逝ってしまった者たちを含む芸人への鎮魂歌であり、笑い飛ばしであり、後生に名を刻んでやる為の芸人歴史書でもある。
私が星3つとしたのは、未だ談志も落語・芸能も知らぬ私には本書の価値が測りかねたから。談志ファン、落語・芸能ファンにはおそらく限りない関心と面白さと、そして古き良き時代の暴露話を提供してくれる5つ星の本だろうと信じる。