透徹した読み、国民に覚醒を促す
★★★★★
「権力の不在」とは軍事力のことである。国の統治、国家の意思決定は最終的に武力に裏付けされているという発想である。このことを国民が理解できないことに著者は苛立つ。
日本は敗戦後、国防をアメリカに丸投げしてきた。冷戦中はそういう国は東西ともザラだったしメリットもあった。だがソ連解体後、各国はそれぞれ自分なりの国防政策を考えている。アメリカの力がますます低下することが予想されるのに、日本だけいつまでも軍事上の属国でいていいのか。軍事の権力がアメリカにあるからアメリカに逆らえない。東京裁判史観の呪縛から逃れられないし、押し付け憲法を改正できない、原爆を落とされた国が落とした国に見捨てないでくれとすがりつく。著者の危機感は強い。
アメリカと抱き合い心中したくないという人はもちろん、アメリカにどこまでもついていきます、という人にもお勧め。非常にわかりやすい文章だが、やや説明に荒っぽいところがあるのが難か。