歴史は勝者が創出する?
★★★★☆
基本的には西尾氏の主張に共鳴します。ただ、一部で「ホロコースト」は連合国による捏造ではなかったか、という疑惑も言われています(西岡昌紀氏)。そうすると、ナチス、ドイツは、勝者により最大の「悪」の象徴に仕立て上げられたのではないか、という気がしないでもありません。
日本とドイツを同一視することの理不尽さ
★★★★★
日本とドイツの対比において、東京裁判はニュルンベルク裁判に相当する。では、サンフランシスコ講和条約に相当するのは何か? これは無いのである。戦勝国との講和条約を締結していないドイツは、いまだ国家賠償をしていない。
また、ホロコーストは戦争と関係なく行われたのであり、戦闘中の虐殺や捕虜虐待と次元を異にするもので戦争犯罪ではない。まして日本は、中国人や朝鮮人の民族絶滅を企てたことさえ無いのである。
結局、戦後補償や謝罪に関して日本がドイツに見習うべき点はなく、むしろドイツが日本を見習うべきなのである。
「日本はドイツを見習え」と叫ぶ人たちの無知や論理性の無さを、本書はあぶり出してくれる
戦後賠償に対するドイツと日本の違い
★★★★☆
戦後賠償に対するドイツと日本の違いを明確に認識できる良書です。
本書は、戦後保障問題におけるドイツと日本の相違を明確に説明します。
サヨク勢力は、日本の戦後補償問題を蒸し返し、あまつさえ、日本はドイ
ツの戦後補償を見習うべきなどと叫んでいますが、本書を読むと、この主
張は、ギミックであることが分かります。ドイツは、戦争に対する責任を全
てナチスに転嫁しており、ドイツ国家としての謝罪は為されていません。
さらに補償の対象も、ユダヤ抹殺を狙ったホロコーストに対してで、通常の
戦争補償は対象外とされています。目からウロコが出る一書です。
「ドイツに見習え」論の誤りとは?
★★★★☆
日本の戦後責任を問う視点のひとつにドイツとの比較論がある。
いわく、
ドイツはユダヤ人に対してきちんと謝罪し莫大な補償をしてきた。
しかし日本は戦争被害者に対してなにも補償をしていない。
著者の西尾幹二氏はドイツ文学の先生だが、
いわゆる東京裁判史観、自虐史観に異を唱え、
戦後の歴史教育を見直そうという立場に立つ。
本書はその立場から「ドイツに見習え」論の論破を目的としている。
論旨を端的にいえば、
・ドイツの補償は「ホロコースト」に対するものであって、
戦争被害者に対するものではない。
・ドイツは通常の戦争被害者や戦争犯罪に対する補償はしていない。
・従ってドイツを引き合いにして日本の戦後補償を批判するのは適当ではない。
ということである。
ホロコーストは戦争と同時期に行われたが決して戦争行為ではない、
という論拠は明快で説得力がある。
これと真っ向から対立する論陣を張っているのが
高橋哲哉氏の「戦後責任論」である。
できれば両方を読んでみることをお勧めしたい。
冷静に日本とドイツの「戦争」を比較した良書
★★★★☆
同じように語られ、(戦後の補償などを)比較される事の多いドイツと日本を、戦争へ駆り立てたもの、戦争犯罪の中身、そして戦後補償が異なるか(日本がドイツよりきちんと保証をしている)を、データをもとに比較検証している本。
新しい発見が一杯で、それなりに引き込まれた。ドイツとか日本の「戦争」に興味なる方には、かなりお勧め。ただ、やたら長いので、1/2/3/7章だけ読めば十分。