科学の最先端を操る人物でさえ、生命を試験管の中では創造できても、その生命を一度試験管から取り出すと、もろくも消滅してしまう。
ところが、放射能に汚染された地球が、何千万年、何億年と経つうちに浄化され、海中にちょっとしたきっかけで細胞が生まれ、その細胞が生命体になり、植物から順番に陸上でも生活を始める。生命を繋ぐとともに、進化してゆくことになります。
正にもう一度地球が“命の星”を繰り返しているかのような、壮大な物語です。
やや、第一編の黎明編のシーンを転用したりして、黎明編とのかかわりを演出していますね。
とにかく、医者でもあったかれの、生命への畏敬とでもいうのだろうか、医者としての限界なのだろうか、人類のわびしさのようなものも感じ取ることができましたね。
「火の鳥」は、どの作品も大好きで、
全て紹介したいのが本音ですが、ここでは第2巻について書きます。
2巻は第1巻、「黎明編」(古代)よりも、ずっっと後(未来)の話。
人類存続の危機に、火の鳥によって重過ぎる使命を与えられた
男の物語です。
たった独りで全てを背負った若者は、残酷なほど孤独な時間を、
もがくように埋めようとします。
一瞬で滅びた世界。それでも尚、新たな生命の誕生を待つ男と、
それを見守る火の鳥。恐ろしく巨大な時が、読んでいる側にも
伝わってきます。
その使命を自分が任されたら?最後まで遂行しなければならない…
でも、"最後"っていつ???狂いたくても、狂えない。死にたくても
死ねない。考えただけでも恐い…。
と言うより、こんなことを考えられる手塚先生と、同じ時代に
存在出来たことに感謝。