タイトルで判断してはいけません
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長嶋有の「エロマンガ島の三人」です。短編集です。本書はタイトルで判断してはいけません。まるで中高生がふざけて作った物語のようなタイトルですが、中身は素晴らしいものです。実在の島「エロマンガ島」でエロマンガを読む、という企画を実行する為にやってきた3人。そもそもその企画の出発点は、飲んだ席での話しから発展していったものだったのです。本書の鍵はこの点にあるのです。飲んだ席での話しは実行すべきなのです。皆さんも経験があるでしょう、飲んだ席ではあんなに盛り上がり、あんなに爆笑したのに、実行しないことが。でもあれだけの「歓び」を一瞬でも感じることの出来る企画は、実行すればきっと楽しいのです。そのラインを超えることが出来るか、出来ないか。そこに1つの境界線があると思います。この物語はこの境界線を越えた男達の物語です。最高です。ギャクではありません。個人的には考えさせられてしまいました。何故かって、それは現地の子供達に、日本語の歌を教えて、とせがまれた主人公が教えてあげる歌が、物語全てを包含しているからです。ビックリしました。その歌だけで、物語の世界が構築されました。そんなことなので、タイトルに引かず、是非手にとっていただきたい。そして、ラストの「青色LED」で世界が完結します。読んで確かめてみましょう。