復讐の執念が招いた悲劇、内容の濃い人間ドラマでした。
★★★★☆
豪華絢爛な宮殿の中で繰り広げられる愛憎劇。 政治的陰謀話ではなく、あくまでも肉親間の愛憎に焦点が絞られている点が他の作品にはない特長だと思います。
自らの行いが招いたといえ、王の残酷な仕打ちに復讐の執念を燃やすコン・リーの苦悩に満ちた演技は圧巻の一言。 さすが中国を代表する大女優の風格を感じましたし、複雑に入り組んだ人間関係の悲哀もよく描かれていたと思います。 ワイヤーアクションも見応えがありました。
ただ、極彩色の宮殿や衣装はこの映画の魅力とはいえ、仏教思想に基づく荘厳なイメージからすれば時代考証の点からも不自然さは否めません。 特にヨーロッパの貴婦人のように胸を強調した衣装からはチャン・イーモウ監督らしからぬ俗っぽさがちらり。 人海戦術を駆使したラストの戦闘シーンも、どこか現実離れした印象になってしまい、物凄さに目を奪われつつも、う〜ん?という思いが・・・。
堅いことを言わず娯楽性と捉えればいいのでしょうが、内容と俳優陣の演技が素晴らしかっただけに、少し残念に思いました。
きらびやかで悲しい
★★★★★
かなり最初は侮っていた。これはかなりの超大作!!
レッドクリフにも匹敵するようなストーリーと迫力あるアクション。
中国の王とその王妃の嫉妬と不倫と屈辱がいりまじったドロドロの人間模様。
王妃は、王と初婚の女性との間に生まれた長男と不倫。その長男はその
実の母と王専属の医者との間に生まれた娘と恋愛関係に。そして王と王妃との
間に生まれた長男は、王妃が王に毒殺されることを知り、王妃の謀反に加担。
また二男は、王妃が不倫していることを知っている。
関係はややこしいが、その分おもしろい!目を離すところはありません。
最後は悲しい結末に・・・。
この監督の作品で初めていいと思った。
★★★★★
ほとんどのシーンが宮中でのものなのですが、もの凄く美しい!柱や床がとっても綺麗です。
過去にLOVERSやHEROなどをみたときはグタグダでうんざりしましたが、王妃の紋章はその様なこともなかったです。ストーリーよりも、衣装、世界観、映像美重視の方にオススメします。
ハラハラドキドキ
★★★☆☆
コン・リーを私はこの映画で初めて知ったのですが、すごい女優さんですね。
あの貫禄、冷え冷えとした表情、気高さ、どれをとってもまさに苦悩の王妃そのもの。
長男役のリウ・イエはさすが若手筆頭株の演技力です。
王妃に菊の意味を問い詰める時の狂気一歩手前の表情、自殺未遂を起こした後の脅えている表情。
もともと表情や瞳での演技力に定評がありますが、よくこれだけ作品ごとに違う顔を見せてくれるものだと感嘆します。コン・リーや王役の俳優さんなど、演技達者なベテランさんに囲まれてても全く引けをとっていません。
作品自体ですが、ストーリーはハラハラする展開で引き込まれます。最後の合戦シーンまで本当に嵐の前の静けさで、次男以外の登場人物がどんどん狂気を増していく様子が不気味です。
私としては、最後の合戦シーンがすごい迫力なのに、結局主要キャラクターが少人数の上にストーリー展開もこじんまりとしてるので、調和がとれてなくてもったいない気がしました。
あのストーリー展開なら最後まで小規模で終わっても充分面白いサスペンスになったと思いますし、逆にあれだけ迫力ある合戦シーンを使うならストーリーや登場人物ももっと広がりのあるものにした方が良かったかなと。
なんだか家族間の争いも王家だとこんな派手になっちゃうのね〜みたいな感想を持ってしまいました。あのすさまじい数の兵隊はどこから出てきたの?っていう唐突感もあり…。
でも豪華なセットや衣装の美しさ、合戦シーンの迫力、主要キャスト陣の演技力がとっても素晴らしかったので星3つです。
圧巻! 中国映画の底力
★★★★★
ストーリーを読んだときは「女帝/エンペラー」と同じではないかと思い、いまさらコン・リーの王妃でもないだろうと甘く見ていたが、さすがにチャン・イーモウ。どこかで見たような映画を作るはずがない。
ストーリーは後宮モノというよりも、サスペンスと家族の愛憎劇。夫婦、親子、兄弟の感情が交錯し、展開が読めそうで読めない。こうなるとキャストもその辺の俳優では務まらない。ひさびさのチョウ・ユンファは出番も台詞も少ないが、圧倒的な存在感があった。やはり亜州影帝は、海賊やカメ仙人ではないのだ。王妃もただ若くて美しいだけの女優では駄目。美貌と貫禄を兼ね備えた、現在のコン・リーだからこそあの迫力が出せる。ジェイ・チョウ、リウ・イェ、チン・ジュンジェの三兄弟もいかにも王族然としており、リー・マンも重要な役どころを魅力たっぷりに演じている。
そしてこの豪華キャストに劣らないのが宮廷のセットと衣装デザイン。中国映画以外であの壮大さは表現できまい。セットと衣装には「HERO」でも息を飲んだが、この作品の方が上かもしれない。また、期待していなかったアクションや戦闘シーンも迫力満点。豪華キャストに加え、豪華スタッフ陣の才能がいかんなく発揮されている。
中国の王朝では幾度も繰り返されてきたありがちなドラマが、壮大な大河ドラマとして成立した。二の足を踏んでいる中国映画ファンには「買い」の作品である。