何度読んでも楽しい! 「一人暮らし」エッセイコミック
★★★★★
たかぎなおこさんはたくさん著書を出されていますが、一部内容のかぶるものがあります。わたしもすっかり、たかぎさんの上京生活について詳しくなってしまいました。それでも飽きないのは、根本に「根なし草」的な心地良さと、誰しも人生の一時期に経験した、「一人暮らしの時の不安、心寂しさ、ちょっとした幸福」だったり、家族の大切さだったり、そうした感情移入できる描写が、一見ほのぼのと見えても、巧みに構成されたストーリーテリングと、日常風景の表現のうまさ(特に食に関する描写は秀逸!)だからでしょうか。何度読み返しても飽きません。2巻完結のようですが、ぜひ3巻もだして欲しい!
または結構切ない「アルバイト・デイズ」
★★★★☆
コミック・エッセイの第一人者である筆者がイラストレーターを志して三重から東京に上京してからの日々を描いた作品。
出版が他作とは異なる(メディアファクトリーではなく、なんと文芸春秋)ことと本のサイズが通常のA5(他作はA5変形)となっており微妙に印象も違っております。
「成功者」が駆け出しだった頃を回想する形式ではありますが嫌みのない絵柄で苦労した日々が詳細に描かれております。
具体的にはイラストレーターとして中々チャンスに恵まれずに生活に追われてアルバイトに明け暮れる日々が中心となっております。
どちらかと言えば地味で不器用な(失礼!)一人の女性が都会での一人暮らしを通じて少しづつ社会に馴染みながら夢を追い続ける姿が共感を呼ぶものになっていると思います。
作者の性格と絵柄の持ち味によるのでしょうが苦労した内容なども暗くなり過ぎず、かと言って必要以上に美化してもおらず読み物として非常にバランスがとれたものに。
この辺りのバランス感覚はさすがに何本もコミックエッセイを送り出しているプロだなぁと言う気がします。
興味深いのは本作が完全に「マンガ」の形式になっていること。
これまでのエッセイとは異なり、ほぼ全ページでコマ割がきちんとされていて枠外に「エッセイ部」が一切ハミ出てこないこと(改ページ部の”おまけ”は除く)。
様々なアルバイトでの悲喜こもごもの全てが描かれた作者の表情や吹き出しで表現されていてその意味では完全に「マンガ」なのです。
にもかかわらず読み終わってみればやはりこれはエッセイだなぁと感じました。
それは作者が感じたあれやこれやが只だらだらと盛り込まれているのではなく、ちゃんと対象化されているからですね。
過去を振り返りつつそれを冷静に客観視する作業が行われているからです。
その上でエピソード毎にきちんと構成が考えられているので読み手に余計な「押し付け」がなくて
それが読みやすさと共感に結びついているという気がします。
やっぱり巧いですね。
まさに反面教師として読んで欲しいマンガ
★★★★☆
イラスト関係の仕事に就く夢が捨てられない女性が
勢いのまま東京に出てきたときのエピソードをマンガにしたもの。
もともとこの人のマンガは読みやすくて好きなのだが、
就職先も決まらないまま、わずかな資金と勢いだけで上京したときの
リアルな苦労がわかる。
特に若い人にありがちな「なんとかなるだろう」という気持ちが
現実的な問題に直面してどんどんなんともならなくなっていく様子や、
そうなって初めて今までどれだけノンキだったかを実感するところが共感できる。
また作者自身がそういった自分をしっかり反省しながら
生活する苦労に追われている様子も良い。
安易に根拠のない夢に行動してしまう若者や
なんとなく毎日を過ごしてしまっている学生には
まさに反面教師として読んで欲しいマンガ。
そして単純に作者のファンが読んでも楽しいマンガ。
かわいらしい上京日記
★★★★★
イラストレーターを目指す女の子が、フリーターのまま単身上京して悪戦苦闘する様子を描いたコミックエッセイです。
作品全体に漂う、やわらかい雰囲気がよい味を出していると思いました。
日常の何気ない部分に注目し、それをやわらかなタッチの絵で表現する作風は、
のほほんとしてとてもよいです。
棘がありません。棘がないことが、この作品では大きくプラスに作用しています。
めざしても簡単にはなれないイラストレーター。
シビアな現実は、作者の前にも容赦なく立ちはだかります。
孤独だったり、失敗だったり、苛立ちだったり、そういう苦労話を大袈裟にすることなく、
作者の視点でナチュラルに捉えて描く手法が、共感できて私は好きです。
本人は無我夢中なんだろうけれど、変にシリアスにならないところが笑えるし、
癒されるし、その健気な姿を応援したくなります。
こんなにのんびりとした奮闘記も珍しいかもしれません。
次の巻も絶対に買います。
う〜ん…
★★☆☆☆
たかぎなおこさんのイラストエッセイは初期の150cmライフから大好きでした。
今回久々にたかぎさんの作品を読みましたが…絵がかなり変わっていてガッカリしました。
丁寧なイラストだったのが雑になってるし。
イラストレーターじゃなくてただの漫画家に変わってしまったんでしょうか。
セリフも今時『あわわ』『およっ』『ほえ?』なんて書いてるし…。
たかぎさん、実際にそんなふうに喋ってるんですか? たかぎさん好きだったのになあ。