深いところで心を暖かく包んでくれる沖縄
★★★★★
8月15日を明日に控え、日本中が先の大戦の記念日的に戦争の話をたくさん報道している。だから、沖縄の話も、もちろん多い。
沖縄が好きで、年に何度も訪れる身には、彼の地がただ暖かくおいしいものがあるだけのところじゃないぞ、と思い知らしてくれる日になっている。
そう、しかしともかくも沖縄は暖かい。それは気候のことだけではなく、心根に暖かい、ということを意味していると思う。
沖縄に着いた途端に解放感とともに、心の安らぎを感じる。そんな優しい沖縄が好き。
こうして、よしもとの手にかかる沖縄は、そんな私の感じる心の深いところで得られる安寧な気持ちの、いわれをひも解いてくれるようだ。そうして、この安寧な気持ちを得るものが、私だけではないことを理解し、ほっと安心する。そんな、孤独感を癒してくれる、素敵な物語だった。
人生に迷った時の一冊
★★★★★
沖縄を題材にした短編4つが集録されています。
あとがきで、最初は沖縄に行くのを面倒くさがった
というよしもとさん。
椎名さんがコンビを組んでいるタルケンおじさんコト
垂見健吾さんに出会って更に沖縄好きになったようだ。
よしもとばななさん独特のタッチ、
描写がうまくて、活字を読んでいても
映像が目にうかんできますよね。
人生に迷った時に-この本では恋愛を扱っているけど
読んでみると良いと思う作品。
「体と考えとやっていることがいちいちばらばらになると
きっと簡単に病気になっちゃうんだ」
ところでアンティパストとパスタの店「青い鳥」のモデルはあるのでしょうか?
よしもとさんの沖縄滞在記、なんくるなく、ない
をもう一度読み直してみたけど該当しそうな店はありませんでした。
今度沖縄に行くときには、下調べして該当しそうなところを探してみよう。
なんくるない
★★★★★
なんくるないって。
気がついたら元気になってた、そんな本。大好きです。
なんとかなるさぁ
★★★★☆
なんくるないは、沖縄の方言でなんとかなるの意。
この本に含まれる4編の小説の舞台は、みんな沖縄。
都会のガツガツしたテンポからのがれてここに逃げてきたひと、休みにきたひと、人生を変えにきたひと、遊びにきたひと。
いろいろなひとが描かれています。
私も子供のときに沖縄に数年住んでいました。子供心に東京や大阪の時間の流れとはずいぶん違ってゆったりしているなぁと感じました。
何かつまずいたときに違う時間の流れに身を置いてみるのは、新しい一歩を踏み出すにはいい方法だと思いました。
大好きな沖縄を舞台にした小説でうれしかったです。
人生の息抜き
★★★★☆
自分がこのままじゃいけないって思うときがあると思いますが、
「きっと私が私を嫌いな限りは、似たようなことがくりかえし起こるだろう。だから、今乗っている電車を乗り換える必要がある、なにかを変えないと…」
自分がこうだからしょうがないって、あきらめるんじゃなくて、変わっていいんだって思えました。
そして、
「人間ってそんなにがんばれないものだから…。そして、がんばるために生まれてきたわけじゃないから。」
「どうして私は先を急いでいるのだろう?そんなくせをどこでもらってきたのだろう?」
なんだか肩のちからが抜けて、もっと旅するみたいに日常も隙間をつくって、ふっと息をつくことができれば、生き方も変わるのではと、気付かされます。
沖縄に行くと自然と感じる「沖縄時間」に助けられた主人公ですが、本当はどこにいても自分の時間が流れるように、変わったり努力すれば、行き方ってもっと豊かになっていくのは…。
時間に追い詰められたりした時に、ゆったりこの本と日常を思い直してみることができると思います★