いつもの吉本ばななさんの作品
★★☆☆☆
つかみどころが無い文章と、少し欠落した部分がある登場人物、いつもの吉本ばななさんの作品でした。
特に全体的にはこれといってなにもなくて、これでは、過去の作品を読み返しても別にいいんじゃないかなって思ってしまいました。
ひとつ心に留まったのは、「ルーチンこそが日常で、人生である。」という本を通してのメッセージ。(これも過去の吉本ばななさんの作品にもありそうなメッセージですが。。。)毎日の繰り返しにちょっと疲れてる人や意味を見つけられなくて苦しんでる人にはおすすめかもしれません。
ハワイの魅力は分かりますが・・・
★★☆☆☆
有名な作家さんだからか、あらすじだけで勝手にハードルを上げてしまいました。
まぼろしハワイ
姉さんと僕
銀の月の下で
の3作品が収録されていますが、全て主人公の家庭が少し複雑。
まぼろしハワイ・銀の月の下では、人を温かく包み込むハワイ、ハワイでは風の匂いまでも甘くキラキラしている、何か言い様のないパワーが満ちているハワイ…と、言いたい事はよく分かります。
アロハの心に触れたくて何度も何度も訪れる人がいるように、ハワイには他のリゾートとは違う大きな魅力があります。
キラキラしている、包み込んでくれる、パワーがある
…で???
素敵だ魅力的だとつらつら書いてあるだけの様に思いました。
あとがき・文庫版あとがきに、フラを習おうと近所のハラウを見学に行ったというエピソードが添えられています。
先生は上手、スタジオも綺麗で申し分ないけど、ハワイのハの字も感じられなかった…とのこと。
どう感じようと個人の自由ですが、まだレッスンを受けてもいない素人さんがなぜ上から目線!?と嫌な感じがしました。
出版や取材でお世話になった方へ、感謝の気持ちを記されている作家さんはよくいらっしゃいますが
〜してくれた○○さんありがとうございます。 一緒に○○してくれたAちゃんBちゃんCちゃんDちゃんEちゃんありがとう。○○の△△さん〜してくれたありがとう。延々続きます。
結婚式で失笑をかう「花嫁の手紙」のようです。内輪向けはその他大勢の読者からすると鬱陶しい。
内容は☆1ですが、イラスト(原マスミさん画)に魅かれるものがあったので☆2。
銀の月の下で想うこと
★★★★★
私が『まぼろしハワイ』で一番好きな物語は「銀の月の下で」です。
自分の弱さを否応なく確認させられた凄い短編だと思いました。
この物語と共に成長できる、そんな素敵なことをばななさんはいつでもしてくれるような気がします。
どの言葉をとっても心に深く響くのであえて私が選ばなくても良いとは思いましたが
「人が人の感情やら魂やらをずさんに扱うときどこかにしわよせがいつかくると言う話なんだと思う」
と言う言葉は恐ろしいけれど見逃せない素晴らしい言葉だと思いました。
そして、良く私は過去の事は忘れることを美徳としているけれども
日々をちゃんとした姿勢で生きていれば過去の捉え方だって
不思議と変わってくるのだと言うことも教えてもらった気がします。
それは、とても優しい考え方で過去は無理に否定しなくていいと言ってもらった気がして、
私はたくさん涙を流しました。私を変えた一冊です!おすすめします。
人模様
★★★★★
書き下ろしです。
いちおう「家族」と言えるけれど、普通に血がつながっている訳ではない人々の様子が、描かれています。
風景や食べ物、時間、出会う人々から得るインスピレーションと心の再生が、昔からの著者らしい1冊。
このところ、ちょっと食傷気味だった”ばなな節”が減って、最近の作品の中では1番好きです。
3つの短編のうち、「姉さんと僕」が印象的、というか純粋にびっくりした。
まず「僕」という男性の1人称が、珍しい。
と、その新鮮さに気を取られ、後半の展開に「え!」という感じだった。
その時、病院の待合室で読んでいたんだけれど、思わず本を閉じてしまいました。
好きなのは残りの「はぼろしハワイ」「銀の月の下で」の方ですね。
表現の勉強
★★★★★
どんな小説、どんな本でも学ぶ点はありますが、
よしもとばななさんの本を読んでいると、
日本語の美しい表現の仕方、形容の仕方を学べると思います。
その、あまりの美しさに涙するほど・・・。
それぞれちょっと変わった「家族」が出てきますが、
そのどれもが一般的に言われる「普通」のそれより
ずっと立派で、ずっと力強く結ばれていて、
いったい家族って何なんだろう?と考えさせられます。
そして、人の温かさ、力強さを知り、
心がほわっとします。
何より、美しい表現、美しいハワイ・・・。
ハワイというと「常夏の島」という程度のイメージしか
ありませんでしたが、表現する人によって、
こうも変わるのですね。
固有名詞もたくさん出ているので、この本に
出ているところをめぐってみたいです。
読んだ後、元気になり、心が浄化された気分になります。
素敵な本です。