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お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: ポット出版
Amazon.co.jpで確認
親子断裂ではないけど、意思疎通の難しさを感じる ★★★☆☆
全共闘の親父が、オウムにも少しは関心のある息子と話している内容の本。
親父の1人勝ちの感じがしてしまうのは知恵のせいだが、もう少し息子は頑張って反論してほしかった。これだと素人がプロにインタビューしている感じで終わっている。
やはり団塊ジュニアはダメなのだろうか。親は息子を、ある意味スポイルしてしまったのだろうか。
「時代」、と言ってしまえばそうなのかも知れないが…。
でも、親父は頑張っている。なんとか理解してもらおうとして、優しく話している。その頑張りがうれしい。
試みに拍手!【追記あり】 ★★★★★
いろいろ沁みる一冊です。

全共闘の闘志であった親父氏が、末期の肺がんで余命幾ばくもないと思われたので、息子氏がタイトルの通り
の対話を試みるという内容です。(現在もご存命の様子で慶賀)

怒られるかも知れないけど、でも率直にいって、世界史的流れの中での当時の位置づけから、カトリック教学と
ハイデガーとの連続性にいたるまでを滔々と述べる親父氏はディレッタントそのもの。
また、「ガキがすねてただけ」みたいなことも言っていますが、やはり一読して、当時を美化しすぎだと思う。
当時の回想だけじゃなくて、昨今の世の中についてのコメントにまで広がるのならば、やはり連合赤軍のあれこれ
(山岳ベースからハイジャックまで)について述べていないのは、解せない。
親父氏の活動とは直接関係ないのかも知れないけれど、昨今の日本人は脳死してるだとかに広げるくらいなら、
一言あってしかるべきなんじゃないでしょうか。左翼への信頼を決定的に損なった事件であり、親父氏の闘争とは
一連の流れなのだから。

しかしながら。

この試みにこそ大拍手!

団塊の世代がどうしたとか、世代間格差とか言う前に、きちんと向き合うという試みが、なされるべきだと本当に
思います。
語られる内容の事実性は措くとして、それでも、当事者として現在どう思っているのか、大人は語って欲しい。
単なる自己正当化と下の世代への説教になってしまっても、それでも語って欲しい。下の世代も、文句を言う
前に、ちゃんと耳を傾けたい。聴いた上でどうするかは、お好みには会わないかも知れないけれど、でも、ちゃんと
聴かせて欲しい。

…と、思ったら、まずは自分の親父に聴けよって話ですな。

繰り返しますが、語られる内容の信頼性は問題ではなく、ちゃんと語った親父氏と、ちゃんと聴こうとした息子氏
と、この試み自体が、いろいろ沁みます。大拍手!


【2010/09/13 追記】
コメントもごらんください。

本書の元になったサイト
目次/http://www4.hp-ez.com/hp/eastedge1946/page10
連合赤軍への言及/http://www4.hp-ez.com/hp/eastedge1946/page11
「知性の叛乱」から42年 ★★★★★
刺激的なタイトルに引かれて購入した。どの世代もそうだが、特に全共闘・団塊世代は「過去を必要以上に語りたがる輩」と「触れたがらない輩」に二分される。どちらも20歳前後の体験が、飲み込んだ石のように体内でうずいているからだろう。
そんな先入観を持って読み始めた本書だが、著者の1人である「親父」はそのどちらでもなかった。過去を美化するわけでもなく、単純に否定するわけでもない。学生運動時代、すでに身につけていた知識と体験を基礎にし、その後のジャーナリストとしての研鑽と体験が驚くべき知的水準の世界を完成させている。
当時、東大全共闘の運動は「知性の叛乱」と形容された。全共闘活動家の「今だから話せる秘話」の暴露を期待した読者には退屈かもしれない第三章の国際政治経済の構造分析は、ある種の凄みを感じさせる。ジャーナリスト時代の「親父」の得意ジャンルでもあったようだが、哲学者・歴史家・国際アナリストもハダシで逃げ出すような冷静かつ分かりやすい分析である。たった2日間の対話で、これだけ濃い内容を喋りつくした「親父」の知性と、それを引き出した「息子」の潜在能力にも感心する1冊だ。