愛蔵版の割には写真が少ないかな
★★★☆☆
「ローマの観光案内として、行く前に読んでおくべき本」と知り合いに進められて購入。
小説としては、読み返すほどではないけど、それなりに面白いし、既に公開されている映画とも後半の展開が異なるので、映画を見た人でも楽しんで読める、よくできたストーリー展開。
それに、映画には出てこないキリスト教やキリスト教美術の裏話なども多く出ており、「ふーん、なるほど」と思うことがあった。上手に融合(征服)するために、新しい宗教が地場の宗教の慣習を取り込んだりしたことは、キリスト教も例外ではない、という例は、なかなか意外だった。
ただし、「愛蔵版」ということで期待したローマの街や美術品の写真については、少し期待はずれ。まずは枚数(点数)が少ない。確かに小説内に出てくるローマの名所の写真は出てくるが、「ときどき挿絵程度に、写真や絵が載っている」程度で、ほとんどのページは字のみ。
また写真にしても、例えば「(建築から1900年もの時がたつローマの)パンテオンは、1975年にニューオリンズにスーパードームが建築されるまでは、自立構造のドームとしては世界最大だった」という箇所で、ニューオリンズのスーパードームの写真が入っていたりする。あきらかに余計。
というわけで、小説として読むなら価格の高い「愛蔵版」でなくてもいいし、ローマの観光には普通のガイドブックの方が良いかも。