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ひとりで、居酒屋の旅へ

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 晶文社
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文章が変わるように、お店も変わる ★★★☆☆
 90年代のエッセイも収録されているんだけど、ある程度の年齢になっても、文章って変わるんだね。やっぱ90年代のものを読むと、文章が過剰で、詰め込みすぎっていうか、無駄が多い。「書きたいことをとにかく書いてやれ」っていう気合いの空回り。だから、連ねて読むと疲れちゃう。最近の太田和彦の文章は年季の入った居酒屋の品書きみたいに削ぎ落とされていて、文章と紹介されるお店がちゃんとマッチしていて、味わいがあるんだよね。
 文章が変わるように、お店も変わる。ほんと、バイトの子が1人入れ替わっただけで、オペレーション(注文のかんどころ、つまみが出てくるペース、料理を片付ける間合い、などなどなど)が変化して、微妙に店の雰囲気や居心地が異質なものになるんだよなぁ。もちろん客でも変わるし。店ってほんと生き物なんだよなぁ。実際、この本で紹介されていたお店にこの間、久しぶりに足を運んだら、全然違う店になっていてがっかりした。店構えは一緒だったんだけど、ありゃ、経営者が変わっちゃったのかなぁ。
 著者は、新宿「樽一」を指して、「小さな居酒屋で主人相手に一杯は疲れる。むしろ大型店の片隅に埋没するほうが気が楽」って紹介しているんだけど、僕もそういう店が好きなクチなので、太田和彦の本で主に紹介される渋めの居酒屋は敷居が高い。客が店を選ぶように、店も客を選ぶんだよね。それで良し、であって。まぁ、いくつか行ってみたいなぁというお店があったので、ぼちぼち探索してみようかな。「大東京平成居酒屋番付」はむりくりの企画の割りに、結構納得する内容でした(お遊びなので、定例にはならないだろうけど...)。