玉村さんの原点がここにある!
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玉村さんは、1968年パリに(サンケースカラーシップで)留学した。小田実の「何でも見てやろう」が1960年で「未体験」の世界が紹介され、インパクトが強かったが、、68年でも、日本人の欧州遊学はまだそれほど一般的ではなかった。68年はパリの「5月革命」があった直後で、玉村さんがパリに着いた9月でもまだ、その余燼が燻っていた。・・
そのまだ動揺が残っている中で、一人の若者が、「自我」に目覚め、友達を作り、パリの生活にどっぷりと漬かっていく様が描かれている。
ヘミングウェイが、『移動祝祭日(A Moveavle Feast)』の扉部分に、「もし、きみが、幸運にも、青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過ごそうとも、パリはきみについてまわる。なぜならパリは移動祝祭日だからだ。」と書いているが、それを感じさせる内容となっている。
懐かしい場所を描いた、絵が沢山挿入されていて楽しい。もっぱら活動の場所は、学生街を中心にしたパリの「左岸」だ。その後、沢山の本を書き、ワインを造り、野菜を栽培し、絵を描き、沢山のエッセイを書いたその根っこはパリにあったんだ!と納得!!
玉村さんの目を通して、パリを窺い知ることができるかも!!