いぶし銀の8服/策謀の胎動が見え隠れする
★★★★★
瀬戸物にはしる古織、あたたかく見守りつつ、方向性をきびしく指し示す師匠。破門の中にも愛情と夢、連帯感がある。
婚礼の件からはじまるので、どうなることかと思えば、あっというまに修羅の世界が広がる戦国時代。
スーパーパワーにいかに対抗するのか、伊達ぶりを発揮するのか、人様々。
家康の解り易さは、類がないほど。牧歌的というか、大家族的というか、その裏側まで考えれば、これも深謀遠慮。
いぶし銀の一服、御賞味あれ。
へうげもの8服、緊張感のたかまる金と黒
★★★★★
瀬戸物にはしる古織、あたたかく見守りつつ、方向性をきびしく指し示す師匠。破門の中にも愛情と夢、連帯感がある。
婚礼の件からはじまるので、どうなることかと思えば、あっというまに修羅の世界が広がる戦国時代。
スーパーパワーにいかに対抗するのか、伊達ぶりを発揮するのか、人様々。
家康の解り易さは、類がないほど。牧歌的というか、大家族的というか、その裏側まで考えれば、これも深謀遠慮。
いぶし銀の一服、御賞味あれ。
重い、しかし笑える
★★★★☆
へうげもの8服は豊臣家転覆を図る千利休を軸に展開していく。
計画を進めながらも悩み、怨み、絶望し、そして尽きぬ反骨心に身を焦がす利休。
朝鮮からの使節に激怒し出兵準備を進めながら、一方で利休とは溝を深める孤独の秀吉。
己が野心のためにこの機を利用せんと、言葉巧みに秀長を横死させる黒田孝高(後の如水)。
大徳寺三門での検分を経て利休失脚を秀吉に促す三成。
来るべき利休切腹と朝鮮出兵を前に鬱々とした内容が加速する。
特に第84席の家康と利休の茶会は見事。
家康から明智光秀の辞世の句を聞き、ショックで光秀の白に覆われる黒基調の利休。
光秀の無念が利休に届いた瞬間をみごとに視覚化したコマは必見。
それを機に利休は己が行状と限界を悟り、暗殺計画を取りやめ楢柴を割って自らの刑死へと進む。
一方家康も利休から大いに影響を受けたようだが、それは次の9服で。
われらが主人公の織部と数寄のニューエイジたちは合間合間にギャグ爆弾を炸裂させる。
織部&右近プロデュースの京都伊達祭りでは政宗と十字架が合体、その姿にメロメロになる女。
それと前後して政宗・氏郷コンビは本気のドツキ漫才を披露、後の喧嘩四つを編み出す。
江戸と肥前名護屋の城作りでは家康の人妻開墾と清正のボクシング築城講座。
(文字で見てもさっぱりわからないと思うので、是非マンガで見て欲しい)
各々が見せる顔芸も相変わらず卑怯なまでに冴えている。
これらのお陰で重苦しい展開も楽しめるというものだ。
織部は染付け茶碗に数寄の活路を見出すも、未だ己の姿を見出せず利休の言葉に戸惑う。
しかしいつの間にか名声や人望を得てたり、大物になる予感はしてきた。
瀬戸屋のポップな看板と橋立の茶壷や高麗茶碗「引木鞘(狂言袴)」といった名物も作品を彩る。
史実と創作が入り乱れる中で、旧世代の残照と新時代の胎動を感じる巻でした。
見つめて、、削いで、、最後に残ったものこそ
★★★★★
利休の策動、古織のものつくり、そして秀吉の政治が動き出す。家康は相変わらず質実剛健で、上半身も下半身もすこぶる元気。命懸けの役どころを伊達政宗のみならず諸将から農民の妻までが演じている一服。
史実は闇の中だが、心も理想も混沌の中からこそ産みだされるもの。
先人の真似ばかりでは、まだまだですな、上田殿。
それにしても、抹茶5倍で喧嘩を売るか?政宗さん。
それは濃茶、作法が違うだろうに。
いぶし銀の一服。とくと味わいください。
刻々と近づく利休の死、脈々と継がれる明智の遺産―
★★★★★
大人気の茶人大名マンガの最新刊
利休の切腹に向けて着々と話が進むなかで
これまで綿密に張り巡らされた伏線が
利休切腹に向け、収束しつつあります。
とりわけ、明智光秀の時世の句(←実は芭蕉の俳句)が
決定的な意味合いを持つシーンでは、
筆者の構想力に驚かされるばかり。
また、家康が光秀を語るシーンでは
しつこいほどに光秀からもらった足袋の模様が登場。
今後、物語が進む中で
このテーマがどう展開するのか
あいかわらず目が離せません。
さらに今巻では
異彩を放つ新キャラが登場!!
秀吉後の時代を大きく動かした彼らが、
織部らとのかかわりの中で、どう動くのかも要注目です
もちろん、
このマンガではおなじみの
史実を巧みにアレンジした大ボラ話は
今回も健在☆☆
読み返すたびに新たな発見のある―
言うことなしの1冊です☆
ただ、スピード感が少し減じているように感じました。
これは、ものすごくうがった見方をすれば
連載での利休切腹を
実際の切腹の日(2月28日)に近づけるため
―とも思えるのですが
これは、気のせいかもしれません☆