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歩いても歩いても

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本
ブランド: 幻冬舎
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映像作品を見終わった時のような読後感 ★★★★★
 ―海での事故で亡くなった兄の15回目の命日でのできごとを軸に、今は亡き父母の思い出を描き出した作品―
 
 こうしてあらすじだけを書くとあたかも父母を神聖化し、感傷的に書かれているかと思われるかもしれないけれど、肉親だけが感じることのできる、人間としてのどうしようもなさや汚さもきちんと描いていて、「面倒くさい」だけど「愛しい」家族独特の関係がうまく表現されている一篇。
 
 本作も映画化されていますが、『誰も知らない』などの作品で話題となった映画監督の作者らしく、〈闇夜に消えていく黄色い蝶〉や〈夏の日差しをはね返す白いスカート〉など、視覚に訴えるような描写が効果的に散りばめられていて、文字だけの作品にも関わらず、映像作品を見終わった時のような読後感が得られる作品です。
いつも道半ば ★★★☆☆
親は子に、子は親に、少しずつ相容れない思いを抱く。
そしてそれは、ことばにされずともちぐはぐなまま、時とともに滓のように
溜まっていく。
15年前、事故で亡くなった兄の命日に集った横山家の家族の内面を
主人公良多の目線で描いた物語。

死んだ兄に希望を託していた両親。父母のバランスを失ったままの暮らし。
特に、身のうちに修羅を棲まわせる母の内面が痛々しく描かれる。
父とて若い頃の幻想にすがるありさまだ。
今のうまくいかない境遇をとても両親には告げられない良多の苦々しい気持ちが
語られてゆく。
もう後戻りできないことを、家族の誰もが知っているのに、振り返り振り返りして
交わらない道を行くしかないのか。

ひとつの家族の肖像を通して、生きること、死ぬことのもろもろを情感溢れる筆致で
描ききった作品だ。

読後、中扉に描かれた三匹(三頭)の黄蝶が、切なく胸にせまる。 
だれでも抱く気持ちを淡々と綴った本 ★★★★☆
本の内容は、もの凄く淡々と親子の関係を描いたもの。
主人公の兄の命日に、久しぶりに兄弟家族が親の家を訪れた一日の出来事を
中心に話が進められていきます。

そこでの親とのやりとりに、自分の幼い頃からの思い出と親への思いが綴られていきます。
こどもの頃、そして成人をしてからも、
親というのはちょっとだけうざったいって思うことがあります。
でも、それは親はずっといてくれると思うから・・・。
でも実際はそうではない。
後半その状況が主人公にも訪れます。
そして、そこにはいろいろな後悔が・・・。
もっと一緒にいられる一瞬一瞬大切にすればよかったという後悔も・・・。
親が亡くなってから、初めてあんなこともしてあげればよかったとか、
いろいろ思うことが多いもの。
結構多くの方が経験したことがあることではないかと思います。

その帯にかかれていた、
「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」という言葉。
なんかとっても心にズンきます。

すでに親を亡くされた世代の方は共感を覚えることも多いはず。

まだ親御さんが元気な若い人たちにもぜひ一度手に取って
読んでいただけたら・・そんなことを思った一冊です。