大人の世界は苦い
★★★★☆
お盆で親戚が一同に会した時の、妙な居心地の悪さがよく出ていると思いました。
大人が親戚同士で見栄を張り合ったり、様々な計算をする傍らで、初めて会った子供達はすぐに打ち解けてしまう所が凄くリアルだなぁと思いました。
見て決して楽しくなる作品ではありません。映画を通じて自分と家族との距離を省みさせてくれる、少し苦みの残る作品です。
日本人の映画
★★★★★
評価が低い人のレビューを読んだので書かせていただきます。
評価と言うのは人それぞれなのであまり参考にしすぎてはいけません。
ですから作品自体を否定するのではなく、作品と自分の感性との対比をレビューしてほしいものです。
頭ごなしに否定しても下品ですし、内容がとぼしいです。
この映画は日本の家庭をリアルに描いています。その中でノスタルジーに浸れるセリフやカットが含まれていて日本人のアイデンティティを刺激します。
家族ならではの心の動きや、大人ならではの汚さ。その合間に子どもの自由と自由さゆえの残酷さも描かれています。また、ゴンチチのBGMも素晴らしいです。
ハリウッドのような分かりやすさや単純な爽快感を求める映画ではありません。映画という娯楽でありながら色々と考えさせてくれる人生の教材のような映画です。
淡々と普通の生活をただ描いている。という評価もありますがそれは感性の問題でしょう。
私にはセリフもカットも美術も非常に作りこまれていて感じることが多かったです。
流しながら観るのではなくて感じようとして。是非たくさんの人に観てもらいたい作品です。
スバルは演歌じゃありません
★★★★★
大勢の中では言えなかったこだわり、言い返せなかった文句が、二人になった時に不意にこぼれて、表面ではなにも起こらない時間に確かな手触りを与えています。
そのくすぶってる場所としての家族。「おばあちゃんちじゃないぞ、おれの立てた家だ」「それ(トウモロコシで気が利いたこと)を言ったのは兄貴じゃなくて俺だ」とか。 遅れて言い返せた言葉とは別に、「ちょっと間に合わなかった言葉」もあり、一回きりの家族の会話の味に、後悔が懐かしさに変質して隠されている。
あるいは墓参りの帰り、暗黙の了解のように二組の母子に別れ、他方の前では交わされない会話が紡がれる、そのスリル。 不意に顔を出す残酷さと怖さ。
こっちの「普通であること」と他人の「普通でないこと」が重なった瞬間、平凡な物語が一気に厚みを増す。「普通」を形作るたくさんの複雑に折れ曲がった思い、久々に詰まった日本映画を発見しました。
日本アカデミー賞で助演女優賞をとるのは間違いなく樹木希林が相応しかったと思います。余貴美子がわるい訳ではないけど、政治的な匂いがしてなりません。
監督のファンです
★★★★★
映画館で観た時、60代以上の人が多く
特に女性がよく笑っていたのが印象的でした
確かに思わず笑ってしまうようなシーンが多いのですが
個人的には、親の愛情の怖さのようなものを感じました
特に母親の…
希木樹林さんの演技がまた凄かったので
怪演の樹木希林とそれを簡単に受け流す阿部寛の演技は見事です
★★★★☆
本作の主演は阿部寛と夏川結衣さんですが、本当の主役は祖母役の樹木希林さんです。希林さんの娘役のYOUが準主役級の演技で盛り上げています。希林さんは圧倒的な存在感で物語の中心にデンと座っています。料理や裁縫をしている慣れた手つき、阿部寛に助けられよちよちと歩くシーンなどがあります。それらが演技なのか、アドリブなのか、それとも素なのかわからず、観ている方は希林さんの術中にはまってしまいます。希林さんとYOUとの会話も絶妙な間で、まるで本当の親子のようです。物語の後半、希林さんが突然顔つきが鬼婆のように変ってセリフを言うゾッとする場面があります。そのセリフを簡単に受け流す阿部寛と、またクルッとおしゃべりないつものおばあちゃんに戻る希林さんの怪演ぶりは見事です。映画の印象が変わってしまうようなとても深刻なシーンでしたが、ここでの二人の演技と監督の演出がすばらしい。本作を通して、登場人物の人間関係はいったいどうなっているのだろう?というのを観客が探しながら観て行く映画でしたが、ラストでナレーションを入れてしまったのは残念ですね。YOUさんは演技がとてもうまいのには驚きました。正当派美人女優の夏川結衣さんは、今回親子役の怪女優二人に食われてしまった感じです。昔から大ファンの原田芳雄さんも頑固ジジイ役ができるほど長生きされてうれしかったです。希林さんと原田さんにはこれから一本でも多く映画に出て欲しいですね。