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模倣犯〈5〉 (新潮文庫)

価格: ¥810
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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上手い作家というのは宮部みゆきのためにある言葉 ★★★★★
この名作を今頃読んでいて申し訳ないです。
遠い昔に映画で観てショボかったけど、原作は映画よりも格段に良いですね。
『蛇にピアス』、『告白』などは、なぜか原作よりも映画のほうが良かったのだけど、
やはりこの長さになると、とうてい映画では表現し切れません。
そして『ピース』の特異さを、Smapの中居さんでは到底……。
(ただ、『ヒロミ』の役をやっていた人はかなり合ってます。あのイメージで読みました)

それから宮部みゆきの上手さは、普通に生活している人の描写にあると思います。
『理由』を読んだときも思ったのですが、いわゆる一般的な人たち一人ひとりの毎日の生活、趣味、思い、悩みが非常に丁寧に描かれていて、それが読んでいる側としてはとても心地良いのです。
作品が地に足についている感じ、決して荒唐無稽な話ではないという身近感。これが宮部みゆきの魅力であり、これは到底、映画で表現できるものではないと思います。

視覚障害のエピソードもかなりリアルだったので、あれに希望を見出した読者もかなりいたようだけど、実はそれもフィクションだったとは、結構驚きました。『識字障害』の一種で実在しているのかと思いましたから。
大作 ★★★★☆
昔立ち読みした本。良く読んだな、この厚みを立ちっぱなしで。
「楽園」を読むにあたり、ちゃんと読み直そうと思って文庫本で再読。
大作だった。

宮部みゆきの人物描写が好き。
心情表現など本当に細やかで、いろんな登場人物の悲喜交々が伝わってくる。
でも、終盤犯人のスケールがどんどんちっさくなっていったのは微妙に感じた。
「不幸なめぐり合わせ」と取るか「たまたまうまくいった」と取るかで
この事件に感じる恐怖や被害者、犯人それぞれへの印象が随分変わってしまう。
狙って犯人像をスケールダウンさせていっているとは思うんだけど、
それと「たまたまうまくいった」要素が相まり、
読んでいて被害者へのやりきれない気持ちが強くなり過ぎてしまった。

結果として、読後感は悪かった。
悪いだけで終わらせないのが、この作家さんの凄さでもあるのだけれど。
最後の彼の慟哭が、今思い出しても切ない。

これだけの長編を見事纏め上げたのは素晴らしい。
ただ若干中だるみもあったため★はマイナス1で。
そりゃ、ベストセラーにもなるわ ★★★★★
ベストセラーになり
図書館では常に順番待ち。

評判は良くなかったが映画化もされ、
ずっと読みたい読みたいと思いながら、
ようやく読むことができました。

文庫版は5巻の長編ですが、
次の展開が気になりグイグイと
力強く引きつけられ1週間で読みきってしまいました。

もう脱帽です。
大拍手を贈ります!!
この本、読んで良かった。後世に残る傑作です。 ★★★★★
二千ページを超える大作の完結巻です。
あまりの面白さに、寝ずに読んでしまいました。
読み終えた後は全身の力を抜かれました。魂を抜かれたかのよう。この本は、凄いです。

読者には明らかにされている事実を徐々に登場人物達に浸透させていく手法も見事ですし、それぞれが知恵を絞って犯人の嘘を見破っていくあたりは本当に興奮されられました。
終わりのほう、老人と犯人の対峙の場面は、泣きました。ラストも泣きました。

犯罪に対する世間のあり方や筆者の思想もきちんと描かれており、人間関係には血が通い、仕掛けやミスリードも存分に味わえます。エンターテイメントとしてもミステリーとしてもこれだけの完成度を誇るおはなしはそうあるものではありません。

世の売文業の皆様、くだらない小説を出す暇があったらこの本を読んで少しは勉強して欲しいものです。今更ですが作者の力量は本当に恐ろしいです。宮部みゆき氏を超える女性作家は、しばらく現れないのではないかと思います。

また五冊それぞれの表紙がとても良いですね。この物語を実に巧く表現しています。

社会悪が引き起こす惨劇 ★★★★☆
非常に長かったが、最後まで飽きずに楽しめた。
第一に、やっぱり上手い。ひとつの事柄を色々な登場人物の側面から違った角度で丁寧に描き切る、そのテクニックは秀逸。
最初は淡々とした群像小説なのかな、という印象を受けるが、それぞれのストーリーが徐々に交わり、そして重なり、
ひとつに終結してゆくラストはとにかく圧巻の一言。
そんなにうまく事が運ぶのか?と思わないでもないが、しかしそのマイナスを差し引いても有り余るお釣りがくる力作。

犯罪者の心理、被害者遺族の心理、取材する者、警察、その他第三者の心理、
決して相容れることのない互いの主張とその苦しみ、心情をこれほどまでリアルに臆することなく突き詰めた作品は初めて読んだ。
それぞれの傷を抱えながら、そして更に傷つけ合いながらも、正しい道を模索してゆこうと必死でもがく登場人物たちの姿に心をえぐられる。

犯罪そのものの惨劇、犯罪者心理の生々しい描写、それらは当然理解なんて域を超えているし、向かっ腹が立つ。
しかし、実際に犯罪はこうやって起きるんだ・・・と、その点は否応なしに納得してしまうほど丁重に描かれていて、
この人はやっぱり社会派ミステリーの秀逸な書き手であり語り手なんだな、と思わずにはいられなかった。
十分なエンターテイメント性で楽しませてくれながらも、心に深いものを訴えてくる素晴らしい作品だと思う。