その中でもこれは圧巻でした。宮沢賢治の作品の良さはもちろんですが、
何と言っても小林敏也さんの画のすばらしいこと!
世界がより広がっていくのを感じます。
不思議な緊張感を保っていて、時に空気や音までも感じられそうです。
いつの間にか世界へと引き寄せられて、
「あらっポラーノの広場はもうすぐそこかしら」
なんて思ってしまいます。
ページを開いてちょっとそこ(ポラーノ)まで!
「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」読み終わった後、悩みました。なぜ悩んだかというと何を言わんとしているのかがよくわからなかったのです。駄作という意味ではありません。まったくの空想世界を舞台にしているせいもあるでしょうがなぜ人間の世界に出現すると罪になるのか、とか化け物世界の飢饉って何を意味するのか、とか疑問がたくさんわいてきます。おそらく賢治童話の研究家のあいだでも大変注目されている童話と思いますが(グスコーブドリの伝記の前作という意味でも)どなたか「私はこう思う」という方がいればぜひレビューに書いていただきたいと思います。
「ポラーノの広場」この童話集の中ではこの話が一番好きです。ポラーノの広場というのは理想郷を意味しているのだと思いますが、それがはるかかなたにあるのではなく近所の野原にある、という設定がとてもいい。「幸せは自分のそばにあるんだよ」といった作者のメッセージが聞こえるようです。広場を探す不幸せな子供たちやイーハトーブ、はては資本家の山猫博士に対してまでにも作者の愛情が感じられて大変いい作品なのに「銀河鉄道の夜」とかほどメジャーでないのが残念です。読んでください。