見える)、心情描写もかなり私小説、というか著者の方の小学生の時の気持ちと、今の著者の思いがごっちゃになっている
気がして、湯本香樹実などに比べるとまだ発展途上という感じ。
でも、なんだかこの小説は読んでいくうちにだんだん惹かれていってしまった。
主人公の独白(独り言体)で進められる気持ちのゆれ具合は、子供らしいごちゃごちゃさが出ているし、
教室の様子はあぁ、懐かしいなぁ、と思いました。時折びくっとさせられるような表現があって、
それに今どきの子っぽい悩み方をしていてだんだん感情移入してしまう…。
あぁ、十二歳の時って西田君みたいな気持ちだったなぁ、とか、主人公の女の子の悩みは一体何なんだろう、とか、
頭がごちゃごちゃしてきて嫌いじゃないなぁ、と。
なんだか新鮮で、さわやかで、でもきっちりきっちりしていていいなぁ、タイトルも、最後の谷川俊太郎の詩もいいなぁ、と。
何だかまた好きな児童文学作家ができてしまった。
たぶん、結構小学4,5年生の女の子なんかでもかなり楽しんで読んでくれるんじゃないかな、と思います。
私はこの本を読んで、はるか昔の十二歳の自分が小学校の運動場にいるのをみた。きらきらとまぶしかったあの頃がよみがえってきて、胸がすこし痛くなった。