全五巻からなる、19世紀後半から第2次大戦後までの短編を時代を追って提供している短編集の1。
選んだ基準は「一冊の短編集として出される可能性の少ない作家の、すぐれた作品」だ、そうです。
しかしトリックだけが良かったりする作品もあるので玉石混交。
私がホームズやらポアロやらに慣れ親しんだせいか、
やはり推理小説の舞台は執事やら小間使いやらがわらわらと駆け回る
古い大邸宅とその時代にこそふさわしいように感じるので
このぐらいの年代の作品世界は私のツボにはまる。
馬丁や庭師が離れに住んでいたりしたら更に良い。
収録されている作品は1860年代から20世紀初頭までのもので、
『人を呪わば』『安全マッチ』『レントン館盗難事件』『医師とその妻と時計』
『ダブメ?ン事件』『十三号独房の問題』『放心家組合』の7作品。
『安全マッチ』はあのチェーホフの作品ということで興味を持ったが、
よく考えたら映画『黒い瞳』の原作もチェーホフの『子犬を連れた貴婦人』で、
ちょいとミステリっぽい要素があったような。
いずれにしろ独自の雰囲気を醸し出している。