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世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

価格: ¥735
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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〈奇妙な味〉の傑作短編集 ★★★★★
◆「銀の仮面」(ヒュー・ウォルポール)

  孤独な中年女性ソニアが、美しくも不気味な青年ヘンリーに
  よって破滅に追いこまれるニューロティック・サスペンス。

  一言で言えば「廂を貸して母屋を取られる」話です。


  ヘンリーが狡猾なのは、けっして悪意を
  表に出さず、ソニアの親切心に訴えるところ。

  孤独な彼女の心の隙間に巧みにつけ入り、
  善人であり続けたい彼女の欲望を利用します。


  乱歩が〈奇妙な味〉の傑作と絶賛したそうですが、
  それにふさわしい、苦い読後感を残す作品です。



◆「三死人」(イーデン・フィルポッツ)

  西インド諸島のバルバトス島。

  ペリカン農場の経営者であるヘンリイと、そこの従業員である
  黒人のディッグルが銃で撃たれ死亡しているのが発見された。

  当初、ディッグルがヘンリイを撃ち殺し、その後に自殺したと推定されたが、
  ディッグルの創痕からおしはかると、弾の発射距離は二十ヤードあったと
  考えられ、その可能性は否定される。

  もっとも、ディッグルはヘンリイを神のように
  崇拝しており、もともと動機がまったくないのだ。


  そして同日、同じく農場の従業員であるソリイの
  死体が、海に臨む断崖の中段あたりで発見される。
  
  死体は、何者かによって咽喉を斬られており、犯人によって
  海に投げ落とされ、隠蔽が図られたと考えられた。


  果たして、「三死人」の間にはなにか繋がりがあるのか?



  私立探偵が現地で六週間調査し、集められたデータをもとに
  探偵所長デュヴィーンが推理するという《安楽椅子探偵もの》。

  人物造形や人物配置、「犯人」が抱く特異な動機と犯行計画、
  「三死人」という不可能状況が現出する過程と意外な真相……。

  どの要素を見ても全く間然するところがなく、
  短篇ミステリとしてほぼ完璧だと思います。

  とくに、事件の根幹をなす「犯人」の逆転の発想がすばらしいです。



◆「信・望・愛」(アーヴィン・S・コップ)

  国籍を異にする三人の死刑囚が、それぞれ自国の
  処刑方法に恐怖を覚え、汽車での護送中に脱走する話。

  三人の脱獄囚が、結局は最も自分が死にたくない方法で最期を遂げるという一種の
  因果応報譚なのですが、それぞれが最期を迎えるまでの経緯の演出が秀逸です。
昔懐かしい短編集 ★★★★☆
本短編集を読んだのは30年以上前。ポーの時代から、昔は短編が主流だったんですね。本作では、バークの「オッターモール氏の手」が抜けていると思います。今で言うとサイコ物に相当するのでしょうが、当時はそんな概念がなかったので、結末の迫力には圧倒されました。作者の感覚は数十年先を行っていたのですね。後はクィーンの「キ印ぞろいのお茶の会」ですか。この作品は本来「クィーンの冒険」か「クィーンの新冒険」に入っていた筈なのですが、こちらの「傑作集」に入っているということで創元社が抜いていたのですよね。で、なかなかお目にかかれなかったのですが、本作で出合えました。作風はいつも通りなのですが、犯人に振り回されていたクィーンが逆に仕掛けを見せるあたりが面白いですね。書かれた時代が時代なので、総じて古臭く感じられるのはやむを得ないですが、ミステリの原点をたどるという意味で(他の傑作集も含め)価値がある一作と思います。
「オッターモール氏の手」は傑作 ★★★★★
世界短編傑作集全5冊は,誰が読んでも,どの巻も,すべての作品が気に入るということはないと思われる。江戸川乱歩氏もそう考えて選んだものではないはずで,ミステリ・ファンの趣味が多様だから仕方がない。それでも,私は,「オッターモール氏の手」を読んだとき,新鮮な感動があったし,今でも傑作だと思っている。このプロットが面白くない人は,おそらく,この作品の模倣も含むいろいろな作品を先にお読みになっていたため,詰まらなく思われたのではないかと思う。翻訳の好みはあるかもしれないが,読む価値を十分感じられる方もあると思うので,私はお勧めします。また,「信・望・愛」は,かつて探偵クイズ本が流行ったときに,トリック紹介で必ず出てきた作品なのですが,読んでみると,トリックに主眼のある作品ではないことが分かり,やはり,ダイジェスト物やクイズ本で見て読んだ気になるのは良くない,作品そのものを読むことが重要であると,ショウペンハウエルの言葉ではないが痛感した次第。個人的には,4巻が一番好きです。
ミステリー史の勉強なら… ★★☆☆☆
掲載作品:ヘミングウェイ「殺人者」、フィルポッツ「三死人」、ハメット「スペードという男」、クイーン「キ印ぞろいのお茶の会の冒険」、コッブ「信・望・愛」、バーク「オッターモール氏の手」、チャーテリス「いかさま賭博」、セイヤーズ「疑惑」、ウォルポール「銀の仮面」の9編。

「いかさま賭博」は本書で唯一気に入った話。私がセイント物のファンだから言うのではない。いかさまポーカーがテーマの軽い作品だが、二転三転の化かし合いがとても楽しめた。

「オッターモール氏の手」は、エラリー・クイーンら米国ミステリー界の大御所たちが1949年に選んだベスト短編「黄金の十二」の堂々の第1位に選ばれた作品。当然大いに期待して読んだが…文章はやたらと回りくどくてウンザリするし、プ!ロットも大した事ないし…どうしてこれがそんな傑作なのか、全然わからない。

ヘミングウェイは、ドライな文体と内容で、その後のハードボイルド・ミステリーに大きな影響を与えたという。ミステリー史的には価値があるのかもしれないが、この「殺人者」そのものは実にあっけない話だった。

「疑惑」も「黄金の十二」に選ばれた一品。悪くはなかったが、同じ毒薬を扱った話なら、クリスティーの「事故」の方がずっとあざやか。

以上、総じて期待外れだった。ミステリー史の勉強ならともかく、読んで楽しむだけならあまりお薦めしません。