ポーのマニア向け小説
★★★☆☆
今回の本で先ず評価したいのは、一巻から4巻まで年代順に分類されていることです。したがってポーの作品の遍歴を詳しくしることができます。そういった意味で大変資料的価値があるといえましょう。「ハンスプファール氏の無類の冒険」は月旅行の題材ですが、後にジュールベルヌなどの世代にSF小説のジャンル確立のきっかけにもなっていますし、推理小説ファンの私にとってはペダントリー主義の先駆けといっていいい作品などがあり大変興味深く拝見させていただきました。しかし、推理小説や古典嫌いの方にはとっつきにくいと思います。ならびに生粋のポーファンではないとついていけないジョークなどもあり、初心者は他の出版社の代表作を読んだ上でこの本をぜひ購入していただきたい。
お勧め☆☆
★★★★★
この小説を初めて読んだのは二十歳の頃でした。が、そのころの私にはいささか難解過ぎる内容と、また1ページに文字がギチギチに詰め込まれているのも手伝って、半分も読まない内にリタイアしてしまったという有り様でした。そして三十代になった今改めて読み返してみると人間の心の複雑さ、難解さをしみじみと感じさせて、また考えさせてくれる話ばかりです。私のお勧めはメッチェンガーシュタイン、瓶の中の手配、鋳楼の悪魔、などですが、まだ読んでいない方は是非一回読んでみてください。狂気と天才とは紙一重とはよく言ったもので作者の狂気ぎりぎりの天才ぶりが 伝わってくる話ばかりです。
第1巻だけど,中級者向け
★★★★★
■収録作品
壜のなかの手記
ペレニス
モレラ
ハンス・プファアルの無類の冒険
約束ごと
ボンボン
影
ペスト王
息の喪失
名士の群れ
オムレット公爵
四獣一体
エルサレムの物語
メルツェルの将棋差し
メッツェンガーシュタイン
リジイア
鐘楼の悪魔
使いきった男
アッシャー家の崩壊
ウィリアム・ウィルソン
実業家
ポオの初期の頃の作品です。
「息の喪失」や「使い切った男」などユーモラスな作品が目を惹きます。また,「アッシャー家の崩壊」や「ウィリアム・ウィルソン」など有名どころも入っていますが…
ポオを初めて読むという方にはあまりオススメしないかもです。
ポオ一流の皮肉とユーモアを駆使したお話が多いだけに,読み慣れないとわかりにくい。ポオを初めて読むという方には,同じ全集の第3巻をオススメします。それで,ポオにハマったら,こっちに帰ってきてください。
僕のお気に入りは,「ベレニス」。
狂気の天才
★★★★★
「狂気」を扱った小説家においてポオほど完璧な世界観を構築しえた小説家は数少ない。勿論焼き増しのような作品は数多く存在する。読めば読むほど圧倒的な筆力が強力な魔力となって読み手を引き込んでいく感じがする。「モルグ街の殺人」といえばミステリーファンなら一度は耳にしたことがあるかもしれない。推理小説の原点を紐解いてじっくり読み込み、その独特の世界に浸るのも悪くない時間のすごし方でしょう。