カルテット曲も良いが、デュオ曲がとにかく素晴らしい。
★★★★★
パット&ブラッドの共作としては、この本作の後に「カルテット」(2007年)という作品が出ているが、デュオ曲が多いせいか本作の方がどちらかというと二人のプレーヤーとしての個性が正面からぶつかっているように思う。ただし「ぶつかっている」と言っても、この場合はぶつかった結果パズルのピースのように「噛み合った」という言い方が正しく、双方が口にしていたように本当に相性の良い二人だったのだなと感心してしまう。(一方、次作の方はタイトル通り「カルテット」としてのグループの一体感が素晴らしい。)
他のメンバーもカルテット曲で素晴らしい演奏を聴かせてくれますが、個人的にはデュオ作品の溶け合うような美しさに、ブラッドのピアニストとしての個性と伸びやかさが非常に出ている気がします。大げさな言い方をすると、以前から「ジャズ」や「フュージョン」といったジャンル区分がバカバカしくなるような場所で音楽を奏でている二人ですが、パット先生の個人レッスンを経てメルドーは従来以上に「ジャズ」から自由になり、傑作「ハイウェイ・ライダー」(2010年)をモノにすることができたと言えなくはないでしょうか?そして、パットにしても自分と同じ境地で演奏している稀有なプレーヤーとしてブラッドのことをリスペクトしていることが、インナーのインタビューやプレイから感じられます。
ブラッド・メルドーというピアニストは曲のバリエーションが広いだけでなく、それに応じてプレイのスタイルも幅広い人です。パットの曲が多い本作の場合、パットのメロディーとプレイに反応した結果、音とフレーズ、どちらも柔らかくて良いんですね。個人的にはブラッドの他の作品よりも本作のプレイの方が安定していて好きだったりします。いやあ、気が多いパット先生ですが、二人の相性の良さは抜群だと思うので、またいつかブラッド君と一緒にやってほしいですね。
一生モノ
★★★★★
世の中には相性がいいとか、絶妙のコンビネーションと言われるものは多くあっても、およそ最近のJazz界でそういった表現がこれ以上あてはまる二人を探すのは難しいだろう。
喩えて言うなら、メセニーという大自然の中に佇む近代建築メルドーといったところか。
あるいはメセニーのまろやかな甘みにメルドーの渋みと苦味。
癒しのメセニーに刺激のメルドー。
しかも名実共に超一流の二人である。
初めての人の耳にも優しく、熟知した人にも新しい風を吹き込み、聴く程に深みを増す。
絶対に買って損はない一枚。
恐らくは一生モノ。
輪廻
★★★★★
このCDを入手してから、ほぼ毎日のように、4曲目の”Ring of Life"を聴いています。それぐらいの衝撃が、もう30年来のPat Metheneyファンである私に走ったのです。このビートは長らくPat自身が封印してきたものであろうし、Mehldauというファンタジスタは若かりし頃のPat自身をピアノの世界で投影したような存在なのでしょう。その結果、今までのPatの組んできたJazz系セッション・アルバムとは全く異なる作品(もっとポップであり、ロックであり、コンテンポラリーです)となっています。私にとっては、カルテットとしてのPatのバンドはこれがベストであり、この1曲が聴けただけでこのCDは十分価値があるものと思えます。タイトルが意味するものは、全ての新しい何かを創造することを志す人々に伝えたいメッセージなのでしょうね。恐らくPat自身にも。MethenyからMehldauへ。
メセニー臭プンプン!
★★★★★
Patの凄さを再確認。
相当くせ者のBradもPatの前では形無し。
Patが最初のフレーズを弾き出した時点で、いや一音弾いた途端に彼独特の風景が広がる旋律が目の前に展開します。
そこではBradは単なる引き立て役になってしまう。もちろんBradも彼のパートではがんばってるんですが。。。
格の違いを見た思いです。
すばらしきメルドーとメセニーの世界
★★★★★
メセニーはナンサッチに移行してから。また新しい展開を見せている。二人のコラボは大変色鮮やかで見事と言うしかない。この二人の透徹したコラボは、メセニーのより進化した境地と言えるだろう。4と7での疾走感あふれるプレイはメルドーの卓越したジャズ・スピリッツ溢れるピアノとメセニーのプレイが展開されており、聞く者を唸らせる。メルドー・ファンとメセニー・ファンには十分たのしめる作品となっている。またメルドーのプレイは大変気迫に溢れている。