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雪に願うこと プレミアム・エディション [DVD]

価格: ¥4,935
カテゴリ: DVD
ブランド: ジェネオン エンタテインメント
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   東京で貿易会社を経営していた学だったが、社は倒産。妻にも見捨てられ、故郷・北海道の帯広に帰って来た。兄の威夫は、地元で細々と“ばんえい競馬”の馬を世話していた。彼の側には個性的で温かい仲間がおり、彼らはやさしく学を迎える。一度は故郷を捨てた彼だったが、兄を始め、地元の仲間が悩みを抱えながらも懸命に生きる姿を見て、心が揺れ動く。そして久しぶりに母に会ったとき、彼は大きな衝撃を受けた…。
   第18回東京国際映画祭で四冠を獲得したヒューマンドラマ。『遠雷』の根岸吉太郎監督が、都会から逃げてきた青年の心の成長と、故郷で地道ながらささやかにつましく生きる人々のたくましさと明るさを描き出す。人と人との心のふれあいを何気ないエピソードの積み重ねで見せていく絶妙の脚本、佐藤浩市、伊勢谷友介、小泉今日子ら、役者たちの達者な演技、登場人物ひとりひとりを、脇役にいたるまでしっかり描き出した監督の手腕、すべてがパーフェクトな感動作。涙を誘う演出はいっさいないが、感動の波がジワジワと押し寄せてくる。気持ちが弱くなったときに見たい、心を浄化してくれる傑作だ。(斎藤 香)
佐藤浩市と伊勢谷友介が演じる歳の離れた兄弟 ★★★★☆
 佐藤浩市と伊勢谷友介が演じる歳の離れた兄弟についてだけ書く。二人の演じる兄弟には味があった。

 「母ちゃんは、歳を取ってから生まれたお前ばかりかわいがった」と思っている兄は、13年間音沙汰なしで、東京から逃げ帰ってきた弟に不満だ。弟の言い分は、「俺だって必死にやってきた!」だ。「俺や母ちゃんを捨ててか!」「そうだよ!」 で、「馬鹿たれが!!」と顔に一撃を食らって、弟はもんどり打って腰掛けから落ちる。(ここのひっくり返り方は見事だ。)弟の言った「そうだよ」は「それほど自分は必死だった」の意味だろうが、兄からすれば“肯定してはならないこと”だった。こんな風にこの二人は、およそ、言葉では意思疎通の不可能な二人なのだ。
 しかし、兄は頑固だが、弟を憎んでいるわけではない。弟は頑なだが、どこかで兄になついている。ウンリュウをレースに出すと発表した食卓で、「学、テツヲ、ウンリュウを頼んだぞ。」と言われて、テツヲと見交わした後、兄を見る弟の目の柔らかさ。認められたうれしさがこぼれる。兄は弟の方を一度も見ないけど、それでイイのだ。

 晴子との結婚を弟が勧めるシーンでは、「お前、人のことに口出せる身分か? かかあに逃げられたくせによ!」と言われて、「そうだった。そうだった!!」と言って立ち去る、その2回目の声を高くする伊勢谷の言い方が、なぜだか楽しい。こうやって13年間のブランクを埋めていく…。論理で話し合うのではなく…。
地味ながら堅実な作りが最高 〜さすがディレクターズカンパニー ★★★★★
根岸吉太郎といえば今や「ヴィヨンの妻」で超有名になっているが、高橋伴明や相米慎ニと同じ和製ディレクターズカンパニーの一員。この作品もさすがというでき。高橋伴明の「火火」や相米慎ニの遺作である「風花」など彼らの作品は今も素晴らしい。

この作品も東京で失敗して北海道へ戻ってきた主人公(伊勢谷友介)と勝負で力を発揮できず引退を迫られた馬(雲竜)と騎手(吹石一恵)の再起を描いたドラマだが、決してハリウッド的なサクセスストーリーではなく、邦画の伝統を守った人間の心をしっかり描いており最高の出来になっている。
朝靄のなかの白い息を吐く馬の調教シーンは美しい。そして、挫折した人間ともう終わりに近づいた馬がシンクロし、再起を賭けて動き出すくだりは胸をうつ。
何と言っても素晴らしいのは、物語を引っ張っていくのは主人公の兄である調教師の佐藤浩市とまかないの小泉今日子。特に小泉今日子が佐藤浩市を慕っていながら、「もう男の人と一緒にやっていくのも...」というシーンは日活ロマンポルノ時代の根岸作品等ディレクターズカンパニーの面々の作品を思い出してジーンときてしまった。
また、調教師の大将の佐藤浩市の存在感がなければ主人公伊勢谷のだらしなさや再起の重みも出せなかっただろう。音楽も静かにドラマにマッチしており雰囲気を盛り上げる。
伊勢谷祐介は終始同じ演技で変化が見られないが、そこが無責任な起業家を逆に良く表している感じがした。

この作品に描かれたばんえい競馬は通常のサラブレッドなどの軽種馬ではなく体重800〜1200キロの「ばんえい馬」(重主馬)が騎手と重量物を積んだソリを曳き200メートルのコースを2つの障害を越えるレース。今ではこの作品の帯広競馬場でしかレースが行われていないそうだ。
そんなところもこの作品の地味ではあるが、魅力のひとつなのかもしれない。


世界でも類を見ない「ばんえい競馬」にも興味津津 ★★★★☆
根岸吉太郎監督による2005年の作品。馬体重が1キロ近くのばん馬(サラブレッドは500キロくらい)がやはり1キロ近くのそりを曳いた状態で競走するという世界でも類例を見ない「ばんえい競馬」が舞台になっています。

東京でビジネス競争に敗れた青年が厩舎を経営する実家へと戻ることで、さまざまな問題へとぶち当たります。師弟関係、上下関係が絶対的で旧社会の典型とも言える「厩文化」と都会で暮らした主人公との相克、そして次第に人間性を取り戻していくプロセスが描かれています。調教師であり兄である佐藤浩市さん、まかない役の小泉今日子さん、美人だけど気性の激しい女性騎手役の吹石一恵さん、悪役を引き受けた山崎努さんなど、脇を固める俳優陣も豪華です。ともすれば、こういうヒューマンドラマは「お涙ちょうだい的」に流れがちですが、北国特有の厳しい自然環境、押し寄せる経済不況、そして独自の厩の雰囲気と勝負に賭ける人たちの懸命さが、安易な流れを拒否しています。特に小泉今日子さんは場末の中年女という役どころは結構はまっています。

個人的には「ばんえい競馬」が興味深く、ただスピードのみが要求されるサラブレッド競走とは全く異質の、まさに「人馬一体」のさまにはある種の感動を覚えます。競馬に興味がある人にはぜひお勧めしたい佳作です。
現れたり消えたりする橋 ★★★★☆
根岸吉太郎監督の最高傑作は、北海道のばんえい競馬に登場人物たちの人生が重なるヒューマンドラマである。東京の会社を潰して故郷・帯広に逃れてきた矢崎学(伊勢谷友介)。厩舎に転がりこんできた学を、時に厳しく時に優しく見守る兄・威夫(佐藤浩市)、そんな威夫に好意を寄せる賄いの晴子(小泉今日子)、失踪した父と同じ騎手になった牧恵(吹石一恵)。現役を退いて威夫が経営する厩舎で余生を送っていた雲竜(競争馬)のカムバックに、それぞれが想いをかけるストーリーがすがすがしい。

ちょっと油断するとベタなお涙ちょうだい映画に陥ってしまうところだが、主演の伊勢谷はともかく、佐藤浩市をはじめとする脇役陣が、そうはさせじとしっかりとサポートしているので心配ご無用。人間よりも馬のことを大切にする威夫が、厩務員や騎手の牧恵に手加減なしの暴力をふるうのだが、ばん馬レースのドキュメンタリー映像とともに、この映画に一本筋を通しているのは間違いないだろう。いやらしい高利貸のじいさん役の山崎努や、おつむが弱い厩務員テツヲ役の山本浩司も、いつもながらに役になりきった超自然体の演技を見せている。

この映画の中で特に印象に残っているシーンがある。騎手生活で嫌なことがあると牧恵がよく訪れる石橋が出てくるのだが、湖の水位によって「現れたり消えたりする橋」が何を意味しているのか、はじめはわからなかった。<消えてしまった父親がいつか現れるんじゃないか>。父が現れた時すぐに見つけられるようにばん馬の騎手を続けている牧恵の気持ちを威夫が代弁した時に、「なるほどね」と合点がいったのである。

ばん馬レースには、コース上に必ず坂が設けられている。騎手が乗った重たいそりを引きずってきた馬が、力を蓄えるために坂の手前で立ち止まる。成績が上がらず馬刺し寸前だった雲竜が、蓄えた力を一気にはきだすようにその坂を越えた所で映画は終わる。人生の困難にぶちあたった時、壁をのり越える原動力となるのは、やはり周囲の人々の思いやりだったり、励ましだったりすることが素直に伝わる1本だ。
北海道だけの「ばんえい競馬」の息づかいを感じる作品。 ★★★★☆
ばんえい競馬といえば、数年前に運営の危機がニュースになった。ちょうどこの撮影をしている頃だ。旭川・岩見沢・北見の3レースが2006シーズンで休止となり、残る帯広も風前の灯になった時、ソフトバンクが支援を名乗り出て復活したものだ。そういう空気感が撮影にもよく出ていて、特有の「寂しさ」「哀愁」があるのだ。実はこれが成功の要因ではないか。例えば東京でよみうりランド主体の地方競馬をドラマにしても盛り上がりそうもないからね(笑)。俳優陣も豪華で、伊勢谷友介・佐藤浩市兄弟の微妙な距離感の出し方や、小泉今日子のしなやかさには特に魅せられた。また出演はわずかだが、山崎努・香川照之・椎名桔平・津川雅彦・草笛光子らの名優も圧倒的な存在感だった。吹石一恵の心情の表現が少し弱いかな、とは思ったが、ラストシーンを見せないで終わる根岸監督の撮り方を考えると、あの中途半端な感情はあえて醸し出したのかな、と思う。映画が終ってからが主役たちの本当の「第一歩」なのだから。心に染みるいい作品です。星4つ。