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零式戦闘機 (新潮文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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日本が戦った第二次世界大戦そのもの ★★★★★
先ず、太平洋戦争以前に、航空機による戦闘が活発に行われていたことを知って驚きました。

航空機の歴史は、二十世紀初頭1903年ライト兄弟による人類初の発動機付き飛行機による飛行成功に始まります。それからわずか四十年足らず。日中戦争では、国産の爆撃機による重慶爆撃。ヨーロッパから輸入された戦闘機で構成された中国空軍の迎撃。
今までの僕の爆撃機のイメージは、日本中を爆撃する米軍の巨大爆撃機だけだったので、太平洋戦争以前に日本軍による都市爆撃と中国軍戦闘機による迎撃=空戦が行われていたことに驚きました。
この戦闘で日本軍に求められたものは、爆撃機の護衛機。迎撃してくる中国空軍機と戦闘を交えられる長距離の航続距離を持つ戦闘機でした。
そこでデビューを飾ったのが零式艦上戦闘機=ゼロ戦だったわけです。

物語は、先ず三菱重工での開発を語り、後半は実戦の様子を語ります。
著者もあとがきに記しているとおり、ゼロ戦のデビューから末路までは、同時に日本にとっての第二次世界大戦そのものでした。

一冊を通して僕が感じたことは、第二次世界大戦を戦った日本に対する感慨です。今さらその是非を議論しても始まらないと思うので(もちろん戦争なんてしないほうがいいに決まっています。だけれども、個人のレベルで「いやだ」と言ったところで、戦争の最中では、それが講和に結びつかない限り、感傷でしかないと思うので)ここでは、ゼロ戦開発に取り組む民間会社の技師たちに、現代の平和産業に従事する技師と同じ類の要求と情熱と結果と評価を感じたことを記しておきたいと思います。
ただし、つくづく弱電機器メーカーに勤務していて思う、その気楽さは、自動車業界や食品業界と違い、製品の使用者の安全や、生命、健康に与える危険性の少なさです。
ましてや、空を飛ぶ乗り物は、故障すれば墜落です。
開発者の心労を思うと、手を合わせたくなる気持ちがわき上がってきました。
零戦から見えた日本のいびつさ ★★★★☆
本書からはいろいろなことを読み取れると思うが、そのひとつに、近代国家としての日本のいびつさが挙げられる。

特にそれを感じたのは、零戦を工場から飛行場まで輸送するのに牛や馬を使わざるを得なかったことである。最高性能の戦闘機とその工場を造りながら、輸送ルートを整備しない、あるいは工場と飛行場を隣接させることの出来なかった点に、日本の近代国家への指向哲学が、欧米諸国(特に米国)と大きく違っていたことを見いだせるのではないかと思う。

牛や馬へ与える飼料の不足が、零戦の前線への供給の足枷になった事実は、情けなくもあり哀しくもある。
零式戦闘機 ★★★★☆
読んだ感想ですが、どちらが先かわからないのですが、柳田国男著の
ほとんどダブル内容ですが、どちらが先かわかりませんが、内容が零戦の設計の堀越次郎さんの苦労しながら、世界でも最高峰の零戦の誕生秘話が描かれています。中国との戦争で苦戦していたのが、零戦で一気に日本の勝勢に導いた零戦は大活躍し、世界大戦に活躍しますが、
存在価値は高かったかもしれません。もし、零戦が開発失敗してれば、
早めに終戦を迎えていたかもしれません。そんな悲しい零式戦闘機の完成に至るまでの物語です。
これから技術者を目指そうとする人には必見の一冊である ★★★★★
当時最新鋭機の零戦を工場から各務原飛行場まで牛車(後に馬も併用)に乗せて24時間かけて運んだということは、一番の驚きであったが、読み進むうちに道路事情の悪さ・振動の少なさなどを総合的に判断してあらゆる試行錯誤の結果だったことが良く解った。

海軍(発注者側)と民間(設計者)との間で繰り広げられる仕様と性能との息詰まるような戦いのドラマが本書には綿密に描かれている。技術者の端くれである私などにとっても、身につまされる思いでページをめくることとなった。これから技術者を目指そうとする人には必見の一冊である。

中国重慶での鮮烈なデビューから太平洋戦争終結までの長きに渡って文字通り日本を代表する戦闘機として第一線で活躍したのだから、零戦の優秀さには驚きの一言である。ただ、相手との工業力・資源力の違いはいかんともし難く、「零戦」と「軍事国日本」の生い立ちが妙にオーバーラップし、零戦の運命は軍事国日本の運命を正確に投影しているようで、読後妙に虚脱感に襲われてしまった。

余談ではあるが、今回私はこの本を読むにあたって、事前に「1/48 零式艦上戦闘機52型」のプラモデルを作っていた。それもスケルトンであり、中の骨組みから操縦席・エンジン部分まで精密に再現されているものである。おかげで、文章中の専門的な部品の配置なども頭に直感的に浮かびたいへん理解し易く読み進むことができた。

また、本書を読んだ後引き続いて「空母零戦隊 岩井勉著」も読むことを強くお勧めしたい。

新しく考え直した事 ★★★★★
 最初読み始めた時には蘊蓄かと思いましたが、すぐに違うと気付きました。機械等の描写が妙に細かいんです。零式戦闘機の成り立ちから衰退を軸に様々な艦船を事細かに書いていて、当時の戦争状況も踏まえて、日本の各人がどう思って戦争に望んでいたか。とてもすんなりと読め、わくわくして読むことができました。戦争に対する認識が改まった一冊です。