インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

陸奥爆沈 (新潮文庫)

価格: ¥515
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
著者吉村昭氏は「風化させてはならない」という美辞で戦争が「美化される」ことを避けたかった ★★★★★
「長門」級の33800トンを誇る大鑑、戦艦「陸奥」は昭和18年大音響と共に爆発,自沈する。
死者1121名。

本作は、帯によると、その爆破事故の背景を追った”長編ドキュメンタリイ小説”である。
編集部が”長編ドキュメンタリイ小説”と書きたい気持ちも分からないではないが、
自己矛盾であることは明らかで、内容は”長編ドキュメンタリイ”である。

戦争ものを書くことについて吉村氏は「私が戦争について書くことをためらうのは、戦争を美化してとらえる人々の存在が
いとわしいからだ。意図したものを逆にとらえられるおそれが、私の気持を萎縮させてしまう」
「(大戦後、戦争の分析反省から生まれるはずの)思想らしきものがきざす気配はきわめて薄い。その最大の理由は、
とかく過去を美化しがちな人間の本質的な性格にわざわいされているからで、あの戦争も郷愁に似たものとして回顧される傾きが強い」

だから本文で吉村氏は情緒的単語を注意深く避け、事実を丹念に積み重ねることにより、陸奥の爆沈と
戦争の愚かさを描く。「風化させてはならない」という美辞で「美化される」戦争を注意深く書いて
その愚を避けることに成功したすぐれた作品である。
驚きの連続 ★★★★★
謎の爆沈をした戦艦陸奥。大和、武蔵に次ぐ巨大戦艦を一瞬のうちに沈めた原因は何だったのか。それは、火弾庫の自然発火事故ではなく、人為的なものだった。M査問委員会によって、徹底された隠密調査の中で一旦は原因不明とされたのだが... 戦時中という異常な世界の中で、精神を病む軍人は多く、他の艦でも同様な事件が起きていたらしい。後半は、このような人の心を中心に描いているが、吉村氏が自らの足で調査した流れは非常に読みやすく説得力がある。世界一を自負していた日本海軍の弱点が今になって露呈され、私にとっては驚きの連続だった。飛行機時代の到来の中で、巨大戦艦に走る愚行。何より愚かな戦争を背景に、人間のあり方を描いた秀作だろう。
軍艦爆発の真相 ★★★★★
太平洋戦争中、当時の日本の代表的戦艦が、爆沈する。火薬の自然発火が原因とされたが、内部放火説が有力となる。陸奥爆沈の真相を追ったドキュメンタリー小説です。軍艦の爆発は、陸奥以外にもたくさんあり、その多くは、乗組員の自殺目的や怨恨が殆どであったという。背軍艦という兵器が、人間一人の業で、戦わずして、沈没してしまう。それに伴い軍の上層部は、困惑してしまう様に人間の本質を描き出している。綿密な取材に基づいた素晴らしい記録文学だと思いました。爆沈した陸奥の状況もイラストで書かれていて、わかりやすいです。太平洋戦争の裏側を知るのにも良い本だと思いました。
戦艦と言う生き物にうごめく人間たち ★★★★★
著者が「戦艦陸奥」の爆沈の原因までを探っていくドキュメンタリーになっている作品。
著者は最初は乗り気ではないようであったが、次第に材料が増えていくに従い、この人独自の世界が広がっていく。
最後にたどりついた「事実」。さてこれが真実か?
しかし、そんなことはどうでも良くなる。著者と一緒に長い旅をしたような気がする一冊。
吉村氏は本当にうまいと思わせる作品。
追伸
本日8月1日未明に吉村先生が亡くなられました。若い頃の大病と大手術を乗り越えて誠心誠意に生きてこられた先生。
どうぞ安らかにおやすみ下さい。
正直、覚悟はしていましたが、ショックです。
陸奥は思い入れの深い戦艦(フネ) ★★★★★
戦艦「陸奥」には僕の亡き祖父も一時乗り組んでいたため、個人的にも思い入れの深い戦艦(フネ)です。だから、この本を見つけた時はホントにビックリしました。内容については、戦争ドキュメンタリーの第一人者である吉村昭氏が書いているのですから、一読者である私の言う事はありません。しかし、一つ言わせてもらうならば、此れは決して安っぽい暴露本等ではありません。陸奥と共に死んでいった乗組員や、旧日本軍が変わらなかった為に犠牲となった人々に対するレクイエムなのです。