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新装版 海軍乙事件 (文春文庫)

価格: ¥339
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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暗号が解読されていただけではなく、重要軍事機密書類もアメリカに渡っていた ★★★★★
「海軍乙事件」パラオからフィリピンのダバオへ退避する途中の連合艦隊司令部の福留参謀長を含む高級幕僚を乗せた飛行機が悪天候の中、海に不時着。高級幕僚は「Z作戦要項」という今後の海軍の作戦を含む最重要機密書類を運んでいた。彼らは米匪賊と呼ばれるゲリラに捕らえられた。日本軍の対ゲリラ作戦から逃れるゲリラの交換として日本に帰還した。しかし、重要書類の行方がわからず、機密は漏れないと不問にされたのだが、戦後アメリカ軍の情報資料の中から「Z作戦」の資料が発見され、日本海軍の作戦がすべて読まれていたことが判明した。
「海軍甲事件」では暗号が解読され、待ち伏せにあって撃墜された山本五十六連合艦隊長官の事件を題材にしている。長官機を直掩した零戦戦闘機乗りで、唯一人の生き残りの操縦士の証言をもとに、その事件に関わった零戦戦闘機の操縦士の苦悩を描き出している。「八人の戦犯」ポッダム宣言では日本軍自身が戦犯を裁くことを禁じたにも関わらず、日本軍が軍事裁判で裁き、連合国に引き渡した八人の真実を探っている。無差別爆撃の実行者としてアメリカ人の飛行操縦士を殺害していた責任を逃れるための「とかげの尻尾きり」の意図が隠されていた話。また戦犯Cはクリスチャンであるのに、フランス人神父殺しの責任者にされてしまう。部下をかばう美談が悲劇に変わった。
「シンデモラッパヲ」では木口小平の名が有名だが、最初は白神源次郎が英雄として顕彰されていた。戦争英雄譚に潜むあやふやな根拠。
 証言者がいてこそ書いてきた吉村戦記文学の終着駅ともいうべき作品群。