衝撃。
★★★★★
私が本格的に楳図作品にハマったきっかけが、この作品。
たった小学生とはいえ、極限まで追い詰められれば、やはり人間という生き物は大人も子供も関係なく残酷なものだということが生々しく描かれている。
ただ残酷なだけではなく、子供の純情さが美しく映し出されていて、胸をうたれる。
私はこの作品のラストシーンが大好きだ。その感動は、最初から最後まで読み尽くした人にしか、きっと理解できないと思う。
蛍光色はなし
★★★★★
最初から最後までテンションの高い本作ですが、終盤、クライマックスにかけての盛り上がりは尋常ではありません。想像を絶するような苦難に次ぐ苦難、おぞましい未来人間や怪虫といった外敵の脅威、そして凄まじい内部の対立・抗争を経て、彼らは現代へ帰還する方法を探ります。果たして彼らの運命やいかに…!?本作は連載の開始前には全てのストーリー、設定などをノートに書き出して、構想は完全に終了していたといいます。連載開始後はそれを絵にするだけだったので楽だったというのだから驚きです。
かなり値は張りますが、やはりパーフェクションで読みたい作品です。文庫では小さすぎて、絵の迫力が伝わらないので。この漂流教室では、蛍光色もまだ使われてません。あとパーフェクションでは扉絵が収録されてるというのも大きいです。あるとないでは満足感が全然違います。
2242ページの《旅》を終えて……。(ネタバレはありません)
★★★★★
いや、読んだ、読んだ、読んだ。メタメタになりながら、ハラハラしながら、グシャグシャに号泣しながら(もう、どんだけ泣かせるんだ!)、そして時おり笑いながら(実はこの作品、あちこちに笑いどころが用意してある)、テレビもPCも何もかもOFFにして、読みきった。
以前、文庫でも読んだが、サイズが違うと迫力がまったく違って、今回はまさに“読む”というより“体感する”、そんな感じであった。
名シーン、名セリフだらけだが、ひとつだけ挙げるなら、大友くんと咲っぺの叙情的なシーンが、ものすごく好きだ。
イヤな奴には違いないが、関谷という男の魅力(…というとちょっと違うか)、濃さ、味わい深さにも気づくことができた。もしもアニメ化されることがあるなら、声はやっぱり若本御大だろうか。
しかし、巻末に載っている半田健人氏―『漂流教室』を読んだことがきっかけで、高層ビルマニアになったという―の解説にもあるが、連載開始が『日本沈没』や『ノストラダムスの大予言』の刊行により“終末ブーム”が起こった1973年よりも早い72年だった、ということに驚かされる。楳図先生の鋭いアンテナは、ただ“昭和バブル”に浮かれることをよしとしなかったのだ。
なお1巻は赤、2巻は緑、そしてこの3巻はブルーにカバー等の色が統一されているが、web上では3巻のみ、カバーの色合いがうまく出ていないように思える。個人的にこのカバーのブルーはとても美しく、この作品を締めくくるにふさわしいと感じており、ぜひ一度、実物を手にとってご確認いただきたいと思う。
ちなみに、少年サンデーコミックス版・最終11巻の巻末には、『漂流教室』本編を読み通した感慨も何もかも吹き飛ばし、神経をズタズタにする傑作短編『ねがい』が収録されていた。
ただいま
★★★★★
サバクでの怪虫との闘いは、ある犠牲的な方法で終焉を迎える。翔たちは、再び大和小学校に戻る時、思わず「ただいま」という言葉が口をついて出てきた。こどもたちが本当に帰りたい場所は、「おかあさん」のいる家なのだが、あまりに遠い夢になってしまった今、共同体の拠り所としての学校が「家」の代替になり始めた。さらに、日常では殆ど意識せずに使ってきた言葉が、「とても重い」言葉に変わる。
そして、構内で伝染病が勃発、翔は「おかあさん」に助けを求める
今すぐに社会を動かせる大人にも読んで欲しい!
★★★★★
一気に6巻全部読み上げてしまいました。常にこれからどうなるんだという期待感とおもしろさがあり、十分に堪能できました。でもそれ以上に読み終えたあとのこの何というか重い気持ちになるのはなぜでしょう。それは、この物語が将来(しかもそんなに遠くない)の地球の姿をうまく表現できているのではないかと思えてしまうからかもしれません。自分たちの子孫のために個人として出来ることは少ないですが、それは何かを考えるいい機会になりました。