このCDに収録された楽曲は、たとえばケニー・ロジャースのもののようなコテコテの「カントリー」ではない。波打つような発声と演奏の方法がそれらしいが、どちらかというと「ポップス」の範囲に入るのではないかと僕は思う。色彩で表せば、明度はものすごく高いが彩度は低い、という感じ。
生きていることが辛く哀しく感じるときには、DIXIE CHICKSのこの「明るさ」は救いになりうる。そんな気が、僕はする。それは、彼女たちの音楽が前へ前へと「前進」していくものだからだ。けして落下したり立ち止まったりすることなく、それはいつだって、前に進んでいく。この「前進性」はとても貴重だ。未来に向かう人たちへの応援歌、と言ってもいいだろう。