変革の時代だからこそ
★★★★★
アメリカの金融危機から端を発した世界経済危機、そこから始まる各国の変革、日本においても同様だがこの時代背景がどことなく幕末から明治維新にかけての動乱期に酷似している様に感じ、今をチャンスとして新たに勝ち残っていく為にはどうすれば良いかというヒントをこの著書で提示しているかと思えます。過去の事例を振り返り、混沌とした現代社会で勝ち残る為の参考書として活用したい一冊です。
変革の時代からこそ、振り返りとして参考になる本
★★★★★
幕末や明治維新を、薩摩(人)の視点で振り返った本。外交や軍事、そして、それにまつわる(特に海運)産業発展の話が主体。維新達成にとどまっていない点が、多くの薩摩視点での本と若干異なっている。
前田正名に関してページを割いており、”松方正義 Vs. 前田正名”。工業主体と農業主体という政策意見の対立。しかし、意見の相違を紹介すると共に、前田の媒酌人が松方であるというエピソードなども紹介されている。「地方はおいしい」とか地産地消などの現代との関連性も書かれている。対立としては他に、”五代友厚 Vs. 渋沢栄一”という読み方ができる章も面白い。幕府の他に薩摩藩も出展したパリ万博での両人の関与や、その後の生き様。
倒幕に向けた武器調達やそのための外交、台湾出兵などと海運業との関係、そして政策に対する意見対立での幕末や明治初期の人々のダイナミックさや、したたかさが伝わってくる。日本の政治、そして外交を考える上で、参考になるのではないだろうか。
なお、随所にエピソードが盛り込まれている。小松帯刀が仏蘭からの借金を帳消しにした件や、岩崎弥太郎と坂本龍馬との出会い。他には、品川駅の「薩摩屋敷」と小松帯刀との関係、騎手の武豊と薩摩との関連など。リラックスした読み方でも良いかもしれないし、幕末や薩摩フリークとしても役立つだろう。
薩摩ファンには宜しいか
★★★☆☆
幕末維新に活躍した人物を取り上げ、現在に活かすべき知恵を提示しようとする書。未曾有の危機といわれる現今に果たして知恵としてどこまで適用できるのか疑問が多いこと、また筆者の地元薩摩出身者の事例が多数を占めることから、書名に相応しい内容か否かについて悩ましいところである。