第一章 愛するものの失せし時
第二章 国人に捨てられし時
第三章 基督教会にすれられし時
第四章 事業に失敗せし時
第五章 貧に迫りし時
第六章 不治の病に罹りし時
すべて、当時の彼の現実問題(妻の死、基督教会からのバッシング、無職による貧困など)がきっかけとなっています。文章構成は
1.問題にぶつかる前から
2.問題が起こり、
3.それを克服するまで
の彼の思考過程が逐次記録されている、となっています。
どの章でも、彼はまず「正論・一般論」を述べて、自分も頭では正論を理解していた、しかし実際問題にぶつかってその空論であることを知った。しかし、彼はキリスト教信仰をそこで捨ててしまうのではなく、むしろ実際問顡?をキリスト教信仰の視点から克服します。そして正論は確かに正論であった。のみならず、彼はより一層、自身の信仰を昇華させ、今まで以上に高く高く舞い上がっていきます。「私たちの想像を遙かに越えてつかないくらい、高く高く舞い上がる鷲のよう」と内村鑑三を評する人もいますが、正にそのような彼がこのここにいます!
また、この本は内村鑑三が後に主張する「無教会キリスト教」というキリスト教精神の出発点となっています。
対象読者としては:
・目次に見られるような問題を抱える方、
・また、クリスチャンで教会に親しめない方
などにオススメです。
問題解決型の著作は世間に数多く溢れていますが、本著のようなしてんから問題解決を試みる著書は少ないと思います。クリスチャンはもちろん、そうでないかたにも、問題解決の新たな視点を提供するのではと思います。
ただ、過去の偉人伝を多く引用しているので、私も含め、現代の若い世代(20代)には取っつきにくい部分もあります。注釈が付いてはいるのですが。