ストーリーのつくりかたが分かっていない
★★☆☆☆
タイタス・クロウの登場する短篇の全11本を収めた短編集。
すべて新訳。
執筆順ではなく、タイタス・クロウの人生に沿って並べられている。クトゥルー神話のひとつだが、どちらかというとミステリ風味が強い。
名前は良く聞くのだが、タイタス・クロウものを読むのは初めてであった。そしてあきれた。ラムレイ氏は小説というものの書き方が分かっていないのではないか? ストーリーの盛り上げ方が下手だし、結末のつくり方があまりにも酷い。ガッカリを通り越して、ビックリしてしまうくらい残念な物語ばかり。
平均点
★★★☆☆
まあ読めます。
内容としては平均点。
クトゥルーが好きな方にはぼちぼちでしょうか。
もう……最高だよ! ラムレイさん。
★★★★★
間違いなく、ラムレイ氏の作品郡はラヴクラフト系ではなく、ダーレス派に属するもの。それは、ダーレス派の最極端である超大作アドベンチャーゲーム『機神咆哮(斬魔大聖)デモンベイン』を開発したニトロプラスの通販でも売られていることで分かります。
古くからのラヴクラフト派には「うーん……」と首を捻る所もあるかもしれません。しかし、この『タイタス・クロウの事件簿』には他の作品群にはあまりみられない『エンターテイメント性』が強く感じられました。つまり、それまでの作品が『オカルトホラー』ならこれは『オカルトアクション』と言えるのです。
ラムレイ氏の文体も、非常に読みやすいです。夏来健次さんの訳が素晴らしいというのもありますが、それを差し引いても、です。「デモンベイン好きだけど小説って難しいじゃん……」と尻ごみしてる方に、そして「いつもいつも主人公かその友人って怪異に殺されちゃうんだよなー。もっと『スカッ』とするクトゥルフもの読みたいなー」と歯ぎしりしているかたには、是非とも読んで欲しい一作です。
あと『デモンベイン』を先に読んでおくのもいいでしょう。実際、デモンベインを読み終わったあとの本作の面白さと言ったら……もう最高です。
思いのほか楽しめました
★★★★★
ラブクラフト以外のクトゥルー神話関連作品では一番読みやすいんじゃないかと思います。できれば、これを元に映画を作ってほしいくらい。もちろんラブクラフトの世界観を理解できる監督に。クトゥルー神話の雰囲気や設定は好きだけど、ラブクラフトの文章は読みにくい…という人は読んでみて下さい。初心者向けの良質なクトゥルー神話関連作品だと思います。
オカルトな事件簿
★★★★★
信じてはいないけど、オカルトは大好き。しかも事件簿も大好きな私にとっては、好みのど真ん中を撃ち抜くような本でした。タイタス・クロウの性格から行動から何から、それまた好きになりましたし。
一応呪いだとかそういう非科学的な部分が強いのですが、こういう呪いについて調べたらこうすれば防げるとわかってきて、という風に繋がっていく話が多いので、事件簿ものとしてもあまり違和感なく読めます。
そして何より、翻訳した方のセンスの良さ! 「Caller of the Black」が「黒の召喚者」になったのはすでに翻訳されていた方のをいただいたそうですが、しかし、それぞれのタイトルもそうですし、作中に出てくる本のタイトルがまた、おどろおどろしくて実にかっこいい。水に住む生き物という意味のタイトルはいくらでも他のパターンがあるのでしょうが、水棲動物と書いて「ハイドロフィネ」とルビをふるあたり、実に雰囲気が良く出ています。
多少英語はわかりますが、そういった雰囲気がわかるほどはわからないですし、同じ本のタイトルが英語版とドイツ語版で出てきたりするので、日本語で読んだ方が雰囲気が味わえる気がします。