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風の盆幻想 (幻冬舎文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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いまいち。 ★★☆☆☆
最近の作者の傾向だが、ちょっと文章がふざけ過ぎで鼻につく。読み終えた後で、特にどこが良かったという満足感がない。残念なことだが、以前の作品と比較して、正直なところ質が落ちてきているように思う。
ご都合主義 ★★★☆☆
越中・八尾の「風の盆祭」がこの作品の舞臺。

八尾、神岡、飛騨高山と情緒のある街を淺見光彦と「輕井澤のセンセ」こと内田康夫が歩き囘つて、謎を解く。
謎とは、自殺で處理されたとある事件が實は殺人事件ではないかといふこと。

しかし、讀み進めていくうちに、話は殺人事件そのものの解明から、男女の愛のかたちへと展開してゆく。
殺人事件そのものは、あまりにご都合主義的に解決されてしまふので、面白くも何ともないのだが、奇拔な「男女の愛のかたち」には考へさせられた。
もちろん、現實的ではまつたくないのだが、「風の盆祭」といふ幽玄なシチュエーションとあいまつて、幻想的な雰圍氣を釀し出してゐる。

推理小説としては落第だが、廣義のミステリとしては讀んでも面白いだらう。

それにしても、偶々入つた喫茶店の女主人が事件(?)と密接に關係してゐたなどといふのは、あまりにご都合主義も極はまれりといふべきであらう。

ほんわかとした雰囲気 ★★★★★
大の推理小説ファンの老母と、本書について話し合った。

母:登場する小説家の内田先生は、奔放な性格で、本書のバッファーになっている。
私:と言っても、著者の内田先生の創作上の人物だ。
母:著者の内田先生もこんな人なのかも?
私:礼儀正しい紳士だと「思う」。ところで、交換結婚とは面白い着想だ。
母:これはフィクションだから。本当なら、こんな事は感情的にあり得ないって。
私:このカラクリが、幻想的雰囲気を醸し出している。
母:しかし、推理小説で、幽霊がどうのという話を持ち出すのはどうかと思う。
私:最後まで読むと、幽霊では無かった。あれは、含蓄のあるフリだ。
母:そうか。しかし「悪魔の種子」「廃霊島」とは、随分雰囲気が違うな?
私:それらは、社会派小説的な面があるが、本書は娯楽性を追求している。
母:著者の作品はバラエティに富んでるね。

話は尽きないが、増子の「おわらは晴人さんと踊ります」という言葉が印象的だ。
本書は、ほんわかとした、コミカルな雰囲気があって、気軽に楽しめる。
優しいミステリー ★★★★★
富山・八尾町の風の盆祭りの直後に老舗旅館の若旦那が、公園の植え込みで死体となって発見された
とある人物の依頼を引き受けた作家の内田康夫は、浅見光彦と共に風の盆の地へ謎解きへと向かう・・・

・・・長い間待った新刊は、風の盆祭りの裏のドロ沼が関わってくるものの、浅見とセンセのやり取り、コミカルな描写もあり、含めて全体を通して優しさのある物語が展開されています
祭りの鮮やかな描写や、帯にある死者の魂魄といった幻想的な設定まで、内田康夫作品独特の世界観に引き込まれました
特に、ミステリーのジャンルで、幽霊、魂といった存在を使っても有りだと思えるのは、この作者の作品の特徴だと思います

強烈な謎や強いサスペンス要素、謎解きを求める人には物足りないと思いますが、夏が去り行く哀愁漂い始めた此の頃に良く似合う、作品だと個人的に思います