知っているようで知らない国
★★★★☆
もはや完全に定着したと言える韓流。
その現代的な装いの下にはやはり韓国固有の文化や歴史がある。
日韓の相互理解とかあまり難しいことではなく、気軽に、しかし正しい韓国の姿を知ってもらおうというのがこの本の目指すとところではないでしょうか。
もともとがハングル講座テキストに連載していたエッセーである。
語学講座の連載ものと言うことで、学問の色彩よりもその国をより知るための気軽なエッセーといった風である。
勿論、著者が思いつくまま書き散らしたものではなく、しっかりとした知識や学術を背景にしている。現代風俗から三国や李朝に至るまでの歴史や文化、特に巫術といったような民間習俗にまで広く目を向けて現代韓国の背景を考察しようとしている。
近くて遠い国であった時代は過ぎ去ったが、近いが故にか未だその類似も差異もしっかりと認識できていないのが日韓のお互いの姿ではないか。
やはり、韓国は歴史を知らなければ理解できない国である。歴史的背景を十分にふまえたこのエッセーは韓国を知りたい人には非常に有益なものになるであろう。