この『Top of the World Tour』を見ればすぐに分かるが、ディキシー・チックスの円形スタジアムでのコンサートは視覚的に際立っており、魅力的な試みだったと言える。本作は、イキのいい彼女たちが2003年に大がかりな北米ツアーを行なったときの貴重な記録であり、いくつもの公演から抜粋した映像を自由につなぎ合わせたもの。ナタリー・メインズ、エミリー・ロビソン、マーティ・マグワイアが巨大空間を小型ステージと同じように感動で包み込むさまは圧巻だ。もっとも、チックスによる濃厚で魅力あふれるブルーグラス、大合唱を呼び起こすカントリー・ポップ、全力疾走のロックを前にしては、会場の大きさなど関係ないだろう。「Longtime Gone」や「Tortured, Tangled Hearts」は洗練されたサウンドだが、チックスのイメージを裏切らない本格派ルーツ・ミュージックだ。「If I Fall You're Going Down with Me」はゴキゲンでロックなチューンだし、フェミニスト賛歌「Wide Open Spaces」は今もって女性たちの心を弾ませる。もっと静かな曲では、ムーディーでパワフルな「Godspeed (Sweet Dreams)」が大勢のオーディエンスをいつになく静かにさせる。（Tom Keogh, Amazon.com）